【聞き手・奥山晶二郎】日常生活に新しい技術がどんどん入り込んでいる。便利な半面、自分の個人情報がどう使われるのか不安にもなる。ツイッターでフォロワーらと丁々発止のやり取りを積極的に発信しているコラムニストの小田嶋隆さんに、テクノロジーとの向き合い方を聞いた。――テクノロジーがすごい勢いで進化しています その結果、以前は高価だった設備の費用が格段に下がっています。小室哲哉さんが活躍していた1990年代後半のJ―POPの全盛期、1回の録音に1千万円単位の費用をかけていました。それが今では、同じレベルの音質を100万円もかけずにつくることができる。 あの費用は何だったのかと思いますが、あの費用だからこそ生み出せたクオリティーがあった。例えば、人間の耳には聞こえない音域をばっさり削ってしまえばいいかといえば、そうでもない。可聴域を超える音が醸し出す深さというものもある。コストダウンが進めば、どこか