愛情がない-。そんな理由で産んだばかりの女児をラブホテルのトイレに置き去りにした女が5月、殺人未遂容疑で大阪府警に逮捕された。女児は数時間後に保護され命に別条はなかったが、医師も助産師も立ち会うことなく1人で出産することは「孤立出産」と呼ばれ、母子ともに健康上の大きなリスクを伴う。しかしさまざまな事情から妊娠を周囲に打ち明けられないまま出産を迎え、わが子を放置する母親は後を絶たない。民間を中心に支援の動きはあるが、妊娠を隠し、心を閉ざす母親たちに手を差し伸べることは容易ではない。 「愛情もなく、死んでもいいと思った」光も音も閉ざされた暗く冷たい空間で、生まれたばかりの女児は一人で泣き続けていた。そこは母親の腕の中でも病室のベッドの上でもなく、蓋が閉まった洋式便器の中。女児はへその緒もついたままだった。 5月10日早朝、堺市のラブホテル。その一室に大きなおなかを抱えた女の姿があった。女は室内