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ブックマーク / note.com/shinshinohara (19)

  • ケインズ、ソディ、ゲゼル・・・地球を壊さないために|shinshinohara

    私は経済学に関してはかなりヘンテコな考え方をしていて、非常に共感されにくいのだけど、ケインズ、ソディ、ゲゼルの3人を組み合わせた考え方がいいじゃないか、と考えている。ケインズは別として、ソディとゲゼルは聞いたことがない、という人が多いと思う。 ソディはノーベル化学賞を受賞した化学者。その後、ソディは経済学に興味を持ったのだけれど、当時としてはあまりに奇抜過ぎる理論だったので変人扱い。でも、さすが化学者らしく、エネルギーの視点から経済を見直すという興味深い着眼点。 この世に存在するものは全て壊れていく。エネルギーは使ってしまえばなくなってしまう。なのに、一つだけ壊れもせず、それどころかどんどん増殖するものがある。お金お金は信用創造などでどんどん増殖してしまう。この世のものはすべて壊れ、失われていくのに。 お金を支払えばいろんな商品を購入することができ、エネルギーを消費することもできる素晴ら

    ケインズ、ソディ、ゲゼル・・・地球を壊さないために|shinshinohara
  • 強制される勉強より、能動的につかみ取る学び|shinshinohara

    「学習には強制が必要」という話を見かけた。そういえばEテレの番組で、子どもが楽しそうに学んでいると勉強しているように見えない、つらそうに取り組んでないと勉強しているとは思えない、という母親が登場していて、ははあ、そういう感覚もあるのだなあ、と驚いたことがある。 しかし、五十歳を超えた今になっても、強制はキライ。強制されたことは記憶から拭い去りたくなる。なんなら別のアプローチで学び直して、強制された記憶を上書きしたくなるくらい。私が指導してきた子どもたちも、強制は大嫌い。 「泣いて馬謖を斬る」という故事がある。孔明が「山の上に陣を築いてはならない」と口酸っぱく注意したのに馬謖は山の上に陣を築いてしまい、大敗の原因となり、その罪で馬謖を切らざるを得なかった故事から来ている。 ではなぜ馬謖は言うことを聞かなかったのか。 孔明から強制されたから。 孔明から注意を受けたことで、馬謖はアマノジャクな気

    強制される勉強より、能動的につかみ取る学び|shinshinohara
  • 男女の別なく深刻化する孤老化の問題|shinshinohara

    女性宇宙飛行士となった山崎さんの夫の手記を読んだことがある。山崎さんが宇宙飛行士になれるよう、専業主夫になったけど、自分の名前を呼んでもらえず、「山崎さんのダンナさん」「○○ちゃん(娘)のお父さん」としか呼んでもらえなくなったという。すると。 精神的に非常に不安定になったという。それまでは自分も会社に所属して、どこの部署の何々さん、と、自分の「座標」を確認でき、人とのつながりも直接的に感じることができたのに、と娘を通じてしか社会とつながれず、自分の座標を見失い、宇宙空間に放り出されたような不安な感覚になったという。 家族がいてもそれだけ不安定化するのに、もし独り身だったとしたら。誰でも不安定になって不思議ではない。まだ働いているうちは会社の中で自分の座標を確認できる。しかし定年退職し、社会とのつながりを失うと、自分の座標を確認することは非常に困難になるだろう。 孤独な高齢者が増えている。

    男女の別なく深刻化する孤老化の問題|shinshinohara
  • 子ども、人、学術を育てるには「任せる」、「待つ」器量が必要|shinshinohara

    は「育てる」のがヘタクソな国になったと思う。「カネを払ってるから言うこと聞くべき」という性急さ、単純さが、学術会議ばかりか、部下育成でも子育てでも顔を出す。その性急さの故に子どもも、人も、学術さえも育てられなくなっているように思う。 https://news.yahoo.co.jp/articles/d9d0dbf8d6403942f2c546cd15327e564fc505bb 孟嘗君は「客」という、何も義務を負わない人間を多数抱えたことで知られる。孟嘗君から彼らに何かしてもらおうとはしなかった。 一見ムダにしか思えないこの客らは、孟嘗君のために中国全土から情報を集め、アドバイスした。この結果、群雄割拠の時代にあって、孟嘗君は六カ国の宰相となった。 孟嘗君のこの成功を見て、見習う者が出てきた。春申君なども客を多数抱えた。客という自由人を多数抱えることが、たった一人では決してた

    子ども、人、学術を育てるには「任せる」、「待つ」器量が必要|shinshinohara
  • 情報を捨てるには|shinshinohara

    物分りのいい人(子)と悪い人(子)がいる。これを「理解力の差」ととる人が多いけれど、私はそうは思わない。物分りののよい人は「あまり考えずに捨てることができる人」、悪い人は「考えすぎて捨てられない人」だと感じることがほとんど。 私は典型的な物分りの悪い子で、中学三年生になるまで文章問題が壊滅的だった。「太郎くんは駅まで時速2キロで歩いて駅まで、花子さんは時速4キロで自転車で」という問題を読んだとき、「なぜ花子さんは太郎君を乗せて上げなかったのか?二人乗り禁止だからか?」とよけいな方に考え過ぎた。 文章問題から連立方程式を作る際は、太郎君や花子さんという情報、歩いてるか自転車かという情報を捨て、数字だけの関係に着目する必要がある。物分りのよい子はこの「捨てる」ができる。たとえ太郎君が次郎という名前であろうと、花子さんが自動車を乗り回そうと、それらは捨てればよいと見抜ける。 しかし物分りの悪い子

    情報を捨てるには|shinshinohara
  • 「勉強しないとどうなるか」という脅し|shinshinohara

    勉強しようとしない我が子を見て、「勉強しないとどうなってしまうか」という将来の話をし、なんとか勉強する気を起こさせよう、とする親は多い。気持ちは分かる。勉強しなければ損をする。我が子を思えばこそ、勉強しとけとアドバイスせずにはいられない、と。ただ。 「勉強しなければこうなってしまうぞ」という話は、子どもにとって脅しとなる。そうした脅しを聞いた子どもは勉強に対してどう思うかというと、「こんな脅しでもかけないと勉強しないと思われるくらい、勉強というのはつらくて面白くないんだ」という裏メッセージを受け取ってしまう。その結果。 ますます勉強するのが嫌になる。脅さなければ勉強するはずがない、という親の思いを感じ取って、ますます勉強に対して気が重くなる。ほとんどの子はこのためにますます勉強が嫌になり、なるべく逃げようとする。逃避しようとする。 ごくたまに例外がいる。もともと勉強ができる子。自分は良い成

    「勉強しないとどうなるか」という脅し|shinshinohara
  • 農業用水路の崩壊は食料安全保障の崩壊に|shinshinohara

    気になることを聞いた。とある地域で水路が古くなり、国が改修費20億円のうち19億円を負担、地域の人は1人7万円の負担で済むという。この破格の条件でも反対の人が多く、水路を修理できなさそうという。もしそうなれば、その流域数百haの水田がダメになる恐れがあるのに。 反対する理由は、もし農業用水の水路を修復してもらうと、農業振興地域の指定がかかり、田畑を売って宅地にするということができなくなってしまうから。 こうした事例が全国的に起きているかも。実際、農業関係者の集まるサイトで尋ねてみると、似たような話が続出しているらしい。 コメというのは、その田んぼだけ水田にすれば育てられるというものではなく、その流域の農業用水の水路がきちんと機能している必要がある。もし水路がダメになってしまうと、その流域では水田を保つことが難しくなり、コメの生産はかなり難しくなる。 コメは、水田でなくても畑で育てることは可

    農業用水路の崩壊は食料安全保障の崩壊に|shinshinohara
  • 経済の駆動力を「欲望」から「工夫を楽しむ・工夫で人を驚かす」へ|shinshinohara

    NHKはかつて、「欲望の資主義」という特集を組んだことがある。資主義の駆動力は欲望だ、ということを端的に表した言葉だと思う。 けれど、私は欲望以外の駆動力が可能なのではないか、と考えている。それについて、言語化を試みたい。 これまで、資主義が欲望を原動力にしてきたのは無理もないと思う。第二次世界大戦が終わるまでは、実は先進国でも貧しい人が多かった。その日を生き延びるので精いっぱいの人がいた。そうした労働者の苦しみを見て、共産主義が生まれたようなもの。 しかし共産主義は、その名の通り、産み出したものはみんなのもの、共有財産、という考え方だから、頑張っても頑張らなくても報酬は同じ。このため、多くの人々がやる気を失い、頑張らなくなったと言われる。どれだけ欲望を持っていても報酬が同じなら、働かないでおこう、となってしまった。 欲望を原動力にできなくなった共産主義は、やがて社会が停滞し、発展で

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  • 「食品ロスをゼロに」は危険|shinshinohara

    NHKやEテレを見ても、あるいは新聞記事でも、品ロス(フードロス)ゼロを目指せ!とよく呼びかけられている。しかし品ロスゼロは決して目指してはいけない。多すぎる品ロスは減らした方がよいが、決してゼロにしてはいけないものだということを、今回お伝えしようと思う。 安全余裕という言葉がある。例えば原子力発電で、発電に必要なギリギリの強度にしてしまったら、とても怖いことだと思われないだろうか。少々の事故が起きても爆発したり異常を起こしたりしないように、意図的に原子炉は余分に頑丈に作られている。その余分を安全余裕と呼んでいる。 これは車のエンジンも同じ。最大出力ギリギリの強度に設定してしまうと、車は壊れてしまいかねない。だから最大出力で走ったとしても壊れはしない頑丈さでエンジンを設計する必要がある。全ての製品はそうした安全余裕を確保した形で作られている。 料供給もこれと同じで、安全余裕が必要。

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  • 科学の中のゆらぎ|shinshinohara|note

    私は頬を噛んだ跡が必ず口内炎に。チョコラBBを教えてもらい、飲むようにしたら、口内炎で悩まされることがなくなった。 チョコラBBが切れたので薬局に買いに行くとプライベートブランドを勧められた。「成分同じ!量もたっぷり!しかも安い!」騙されたと思って買ってみた。 そして騙されたと思った。チョコラBBなら一回1錠なのに2錠飲めと。倍。これじゃ増量の意味がない。何より効かない!噛んだところが口内炎になる!意味ない! 確かに成分表見ると一緒なのに効果がない。成分同じでも効くとは限らないんだなあ、と思った。 以来、プライベートブランドの薬は買わない。 体操服の頑固な汚れを落とす特殊な洗剤を売ってるメーカーの方から聞いた話。ある時、顧客から「汚れ落ちない」と苦情が相次ぐように。製造プロセスや製法などを全部チェックしたが原因が見つからない。疑うのは原料しかない。そこで原料を提供してる会社に電話してみた。

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  • 人は餓死する前に餓鬼になる|shinshinohara|note

    料危機の話になると「弱く貧しい者が餓死するのはやむを得ない」と、物知り顔に、平気で口にする人に結構出くわす。自分にはお金や社会的地位があるから餓死することはないと安心しきっての発言のように思う。しかし一つ大切なことを見逃しているのでは。人間は餓死する前に餓鬼になるということ。 私は計2回、断したことがある。最初の断は特にキツかった。 山にこもり、テントを張って、塩と水だけで過ごすことに。最初の2日間はなんとかなった。腹が減れば水をがぶ飲みしてしのいだ。あとはフテ寝すれば空腹をしのげた。 三日目は手を上げるのもつらくなり、を読んでいられなくなった。それでも日中は、葉が風で揺れているのを眺めたり、アリの行進を眺めてヒマ潰しができた。味覚が敏感になり、水は金属臭がするようで、空腹を紛らわすことはできなくなった。塩をなめてもダメ。滋養のあるものをえ!と体が命じる。 嗅覚が敏感になり、なん

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  • 悪意よりタチの悪い善意・・・食品ロスを施設に送る運動について|shinshinohara

    阪神大震災は1月17日に起きた。真冬でともかく寒かった。このため、救援物資として毛布を送ってほしいという呼びかけがなされた。すると、全国から大量の毛布が送られてきた。この時困ったのが、汚れた中古のものが少なくなかったこと。というか、多かった。衛生面で不安があり、それらは廃棄した。 困ったのは、仕訳に人手がかかること。大量に積まれた段ボール箱を一つ一つ開け、何が入っているかを確認せねばならなかった。何が入っているのか外側からは全く分からないものも多かった。使えないものはゴミ。これが非常に大量で、場所も取られた。 これと同じことが、「品ロスとフードバンクを結び付けるアイディア」で起きている。貧しい人に品を配るには、余って捨てられるだけの品ロスをべてもらえば一挙両得じゃないか、ということで、ニュースなどでもよく取り上げられている。しかし、現場の方から聞くと、阪神大震災の毛布状態。 あまり

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  • 生活再建を視野に入れた生活保護のデザインを|shinshinohara

    辻由起子さんによると、「現在の生活保護の制度は復帰を想定していない」そう。いったん生活保護になったら、ずっと生活保護でい続けることを想定しているんじゃないか、ってくらい。生活保護の間、貯蓄が許されない。仕事が見つかり、生活保護が切れる際、貯蓄ゼロで放り出される。 これでは、ほんのちょっとの故障があっただけで破綻する。せめて、生活保護から離脱する際、見舞金として150万くらい出してはどうだろう。そうすれば、当座のトラブルがあってもその貯蓄でしのげる。トラブルをしのげさえすれば、生活保護に舞い戻る確率を減らせる。 生活保護を受けるような状態にまでなった人が就ける仕事は、高給ではない。低賃金。となると、給料がもらえる翌月までの生活もどうするんだという話になる。ほんの少し出費がかさんだだけで破綻する。これが生活保護の実態。辻さんはこの点で支援にいつも苦労するという。 生活保護から脱却する際の仕組み

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  • 高額納税者のお金、本当は誰が稼いだもの?|shinshinohara

    高額納税者から、低所得の人は税金納めてないのに補助があってずるい、という話を聞くことがある。しかし低所得の人は「搾取」される形ですでに納税してる。地主が小作人から小作料を搾り取り、それで納税していながら「俺だけ納税」と言ってるのと同じ構造。 大切なのは納税額ではなく、労働を提供しているかどうか。高額納税者は上手に「搾取」し、お金を集めるのに長けているかもしれないが、働いているとは限らない。世の中に果たして貢献してるとは限らない。貢献してるのは労働を提供してる低所得者であり、高額納税者はそれに寄生してるだけかも。 私は、労働の種類に関わらず、一定の収入が支払われてしかるべきだと考えている。高額所得者がお金の集まりやすい構造にたまたま位置するだけで低所得者を見下すのはおかしいし、傲慢に過ぎると思う。低所得者の人達は労働力を提供しているだけで立派に納税してるようなものだと考えるべきだと思う。 不

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  • 人類が招く海洋無酸素事変|shinshinohara

  • ドラッカーによる日本型経営の意外な評価|shinshinohara

    ドラッカーの「マネジメント」、確かエッセンシャル版だったと思うけど、日型経営で面白い指摘が有った。 欧米企業はトップの決断が速く、すぐに契約に至れる。ところが日企業はなかなか契約に至らず、イライラするという。いろんな部局の人間が話を聞きに来、「持ち帰って検討します」ばかり。 それも、一度で済まず、違う部局の人間が一から話を聞きたがるので、何度も説明しなきゃいけない。なかなか契約に至らない中、一通りの部局が話を聞いた後、ようやく社長がお出ましになり、契約。ともかく契約までに時間がかかる。これがいわゆる「決断が遅い」という話。 ところが。ドラッカーは意外な評価を与えている。確かに契約に至るまではどえらく時間がかかるのだけど、各部署の疑問が全部解けているので迷いがなく、企業全体が有機的に動き、不測の事態も織り込んでいるので臨機応変に問題に対処でき、納期を確実に守る仕事の速さ、確実さがあるとい

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  • 呪いを解除し、失敗を楽しむ|shinshinohara

    私のところに来てくれる学生やスタッフには、まず「呪いの解除」から始めさせて頂く。ほとんどの人が、親や教師、指導者の言うとおり、指示通りに動かねばならない、失敗なんか許されないという「呪い」にかかっている。約1ヶ月ほどかけて、この呪いを解くことにしている。 最初の1ヶ月は、危険がない範囲で、なるべくたくさん失敗してもらう。失敗したら叱られるという経験ばかりしているので、とても失敗を恐れる「呪い」がかかっている。私は「あ、そうなんですよ。皆さん方ここで引っかかるんですよねー」と言って、一緒に失敗の観察を楽しむ。 「なんでこうなっちゃったんでしょうね?」と聞いても、たいがい、「わかりません」が返ってくる。そこで「ここ、どうなってます?」と着眼点を伝える。すると「こうなってます。あ、だからか!」と気づいてもらえる。「なるほど。ではどうしたらよいと思います?」と尋ね、仮説を立ててもらう。 こうしたこ

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  • 「競争力」考|shinshinohara

    アメリカは世界一料を安く生産・輸出できる国。そういう意味では、アメリカの農家は世界一の競争力があると言ってよいだろう。だから日アメリカに負けない競争力をつけよう、という話がよく出てくる。では、アメリカはどうやってそんなに安い料を作れるのだろう? 「雑動物のジレンマ」に面白い記述がある。アメリカでは平均的な農家が紹介されている。もちろん、日とは比較にならない広大な面積を耕している。で、どんな風かというと。奥さんに働きに出てもらい、自分は農業補助をもらってようやく4人家族を養える、という。 4人家族も養えないほどの価格で生産される料は、アフリカの貧農でも太刀打ちできないくらい安い。結果、アフリカの多くが糧輸入国。小麦などの基礎糧(生きていくのに必要なカロリーを稼げる料)を作っていては生活ができないから、コーヒーなどの商品作物を育てるプランテーションで働く。 しかしコーヒー

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  • 「魂飛ばし」が能動性を取り戻すまで|shinshinohara

    その子は高校一年生だった。母親が「大学に行かせたい」といって連れてきたのだけど、学年最下位クラス。高校は偏差値最底辺のところで、どうやら中学でも学年最下位クラスだったらしい。大人しい性格なので内申点が悪くなく、なんとか高校に進学できたようだった。 どこでつまづいてるのか、過去にさかのぼっていった。分数は壊滅。1/2+1/3=2/5のように、分母と分子をそれぞれ足したりする。さらにさかのぼると、割り算がすでに怪しい。九九はできる。 よし、では割り算から足固めし、分数を完全にマスターさせよう。 しかし学習は初日からつまづいた。 公文式的なドリルを渡し、「このページをやってごらん」と言うと、「分かりました」とよい返事。さて、仕上がるまで他の子の指導を、と。 そろそろかな、と思って声をかけると、一問も進んでない。目はうつろで、魂が抜けたよう。「おい、どうした?分からないのか?」と声をかけるとハッと

    「魂飛ばし」が能動性を取り戻すまで|shinshinohara
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