はじめに2023年2月、東京・世田谷区の区史(自治体史)の編纂を巡り、著作権トラブルが発生しました。東京新聞で「世田谷区史の著作権は誰のモノ? 区と執筆者が対立している理由とは」との記事が公開されています(2023年3月8日現在)。今回は、この事件を題材に、著作権について考えてみたいと思います。 区史(自治体史)は著作物か?この事件で検討すべきポイントはいくつかありますが、まず素朴な疑問として、自治体の歴史を記述した「区史(自治体史)」は著作権で保護される対象なのか?という点があるかと思います。 自治体史というからには、自治体の歴史を記述したものということはわかります。しかし、歴史それ自体は、過去に生じた事実それ自体です。そうすると、例えば「今年の元旦の天気は快晴だった」などというような事実と同じで、そもそも著作権を与えてはいけないのでは?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。 ところ
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