2007年の初音ミク発売以来、広がり続けているボカロカルチャー。大ヒット曲や国民的アーティストの輩出などによりますます一般化する中、本連載ではそうした観点からはしばしば抜け落ちてしまうオルタナティブな表現を追求するボカロPにインタビュー。各々が持つバックボーンや具体的な制作方法を通して、ボカロカルチャーの音楽シーンとしての一側面を紐解いていく。 第4回に登場するのは松傘。他に類を見ない独特なフロウを持つ初音ミクのラップを特徴とし、ボーカロイドによるヒップホップ「ミックホップ」のムーブメントに大きく関わってきた。2016年からは人間とボーカロイドによるラップデュオ・震える舌として自身でもラップを始め、2020年にはビートメイカー名義・Salmonella beatsとして実験色の強い作品も発表。2013年の活動開始以来、ひと際ユニークな活動を続けている。今回はその活動の経緯をたどりつつ、ミ