庶民に学問を教えた日本最古の学校「閑谷(しずたに)学校」で行われた勉強始めの年頭行事「読初(よみはじめ)の儀」。昨年、儀式を復活させた際、江戸時代の「孝経」から、現代にもなじみ深い「論語」に替えた(1月4日、岡山県備前市) 漢文や詩吟の教室が人気で、全日本漢詩連盟が発足するなど、ここ数年、漢文が静かなブームに沸く中、「論語」に関する著書も相次いでいる。今、なぜ論語なのか。論語に関する話題の3作を通じて探った。(泉田友紀) 『論語語論』(藤原書店)の著者、一海(いっかい)知義氏は神戸大学名誉教授で、中国文学を専攻としている。本書は論語の“言葉”にこだわって読み解いた。 そもそも、論語の「語」とは何か。論語を素直に読めば「語を論ず」となるが、論語は言語論ではなく、孔子の言行録である。それをなぜ論語と言うのか、また、原本に「女」という字が19回も出てくるのはなぜか。一語一語の意味を吟味しつつ、教