« 文字とロゴの狭間 | Main | 明朝体様式のまとめ(1) » 2007年07月07日 …【明朝体の様式】 収筆位置の「正確さ」とは 明朝体は本文用書体としてもっとも多く用いられるということ以外に,基幹(規範)書体としての位置づけがあるということはすでに述べた。だからこそ規格にも漢和辞典の見出し文字にも明朝体が選択されるのである。 したがって明朝体には高い可読性が要求されること以外に,字形構造の表現の正しさをも保障する義務を負っているといえる。そういう観点から,文字を構成する線画の起筆・収筆が正確に再現されなければならない。そのひとつが「墨溜りの効用」であった。起筆位置の正確な表現として墨溜りは貴重である。この有無が画数や,極端な場合は字種の差となってしまうことは「市」を例にして詳述したとおりである。 一方,収筆に関しては,運筆のダイナミズムを考慮すると「正確さ」の意味も若干異な