奈良市の興福寺の南大門跡で、奈良時代(710年)の門創建時に埋められた須恵器のつぼから、カサゴの一種とみられる魚の骨などが見つかった。同寺と奈良文化財研究所が15日、発表した。建物が永遠に続くよう地の神に祈った鎮壇具(ちんだんぐ)とみられる。鎮壇具は金、真珠などの宝飾品や穀物が通例で、魚の埋納が確認されたのは全国初。呪術的な意味があるとみられ、古代寺院の地鎮の様子を知る貴重な資料となりそうだ。 昨年11月、南大門跡の基壇(東西31メートル、南北16.6メートル)の深さ約50センチの地中から須恵器のつぼ(口径18.7センチ、高さ15.5センチ)が出土。ふたはなく土が詰まっていた。今年1月に土を取り出したところ、最下部に納められた和同開珎(わどうかいちん)(銭貨)5枚とガラス玉13個などの上に、魚の頭部の骨6点(長さ最大約1センチ)と左右の胸ビレ2点(同約1.5センチ)、うろこが見つかった。