パレスチナに関してこれだけは是非ご理解いだきたい事があるのです。パレスチナ問題については、ユダヤ人とアラブ人の数千年の歴史をさかのぼる民族対立であるとか、旧約聖書の時代にさかのぼるユダヤとイスラームの宗教対立なんだと言うような説明がよくなされます。しかしこの「ユダヤ対イスラーム」の数千年の歴史とか、彼らの宿命的な民族対立、宗教対立といったパレスチナ問題についての理解は、これは大ウソだということです。これはフィクションです。 「アラブ人」とはなにかと言いますと、これは、アラビア語という言語を自分の第一言語、いわゆる母語とし、アラビア語の言語文化を生きている者たちのことです。つまり、アラブ人というのは、アラビア語という言語によって規定された概念なんですね。もうひとつ、これも合わせてご理解いただきたいんですが、イスラーム世界という言い方についてです。これは、アフリカから東南アジアにまたがる広い