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ブックマーク / www5f.biglobe.ne.jp/~st_octopus (3)

  • 恐るべき詩人~ジャン・コクトー「詩人の血」~

    神秘の事故、天の誤算、 僕がそれを利用したのは事実だ。 それが僕の詩の全部だ、つまり僕は 不可視(君らにとっての不可視)を敷写(しきうつし)するわけだ。 ―ジャン・コクトー「自画像」より―(*1) *1 ジャン・コクトー/堀口大學訳「コクトー詩集」169ページ お次はフランスの詩人ジャン・コクトー(1889~1963)の映画である。ところが、この章の題名は「サイレント黄金時代(1913~1927)」。コクトーが最初の映画「詩人の血」を製作した1930年、時代はすでにトーキー(発声映画)となっていた。当然「詩人の血」も、トーキーとして製作されている。コクトーはその後も1もサイレント映画を撮ってはいない。にも関わらず、なぜここでコクトーを取り上げるのか。それは、彼が1920年代にフランスで数多く製作されたアヴァン=ギャルド映画の系譜を受け継いでいるからに他ならない。「???」「超現実世界への

  • フロイト・コンプレックス~ドイツ表現主義映画~

    ドイツ映画「カリガリ博士」(1919年) ヴェルナー・クラウス(左)とコンラート・ファイト (「カリガリからヒトラーへ」より) 20世紀最大の発明とは、「映画」、「ファシズム」そして「精神分析」の3つと言われることがある。ドイツは、この3つすべてに大きく関わった国である。1895年11月1日にエミール(1863~1939)とマックス(1859~1945)のスクラダノフスキー兄弟によってベルリンで初公開された「ビオスコープ」は、フランスのリュミエール兄弟による「シネマトグラフ」よりも2ヶ月近く早い偉業であった。ファシズムは言うまでもなくアドルフ・ヒトラー(1889~1945)率いるナチス(国家社会主義ドイツ労働者党)の専売特許みたいなものだし、厳密にはオーストリア出身だが、精神分析の創始者ジークムント・フロイト(1856~1939)はドイツ語を喋っていた。フロイトの亡くなる1年前の1938年

  • 第三の天才~ハロルド・ロイド~

    あれはまだアメリカに住んでいた頃だから、4~5歳のことだったろう。友人の家に遊びに行って、そこで8ミリの映画を観た記憶がある。一人の眼鏡をかけた男が、自殺をしようと思い立つ。落ちていたピストルをこめかみに当てるとそれは水鉄砲。川に飛び込めば浅瀬で、深みを選べば船の上に落ちる…。20年も昔に一度観たきりの映画なのだが、これらの場面だけは鮮明に覚えている。その後、この時の映画の主人公を演じていたのはハロルド・ロイド(1893~1971)ではなかったのかという気がしていたのだが、再びこの映画に出会う機会はなかった。 それが、2年程前だったろうか、近所のビデオレンタルで借りてきた映画の中に、この作品を発見し、とても懐かしい気分になった。その作品は「ロイドの化物屋敷」(1920年 米)。あの男はやはりハロルド・ロイドで間違い無かったのだ。つまり僕にとってロイド体験は、チャップリンやキートンよりもはる

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