新宿の下落合や(城)下町の人々を中心に、街角の物語を想いにまかせて綴っています。主題は「わたしの落合町誌」。記事の利用については一報いただければ幸いです。無断使用はご遠慮ください。 いつもナカムラさんが貴重な情報をお寄せくださる、画家・竹中英太郎の下落合暮らしについて、ちょっと書いてみたいと思う。ある出版社の編集者の方から、わざわざ竹中英太郎に関する資料をお送りいただいた。2006年に出版された、備仲臣道の『美は乱調にあり、生は無頼にあり~幻の画家・竹中英太郎の生涯』(批評社)だ。 竹中英太郎は、1923年(大正12)の関東大震災で大杉栄と伊藤野枝、そしてわずか6歳の橘宗一が憲兵隊に虐殺Click!されたのを知ると、当時暮らしていた熊本で激昂する。口の中を噛み切り、出血するほどの怒りだったようだ。竹中は、大杉たちを殺した権力へ報復するために、要人暗殺を決意し懐中に匕首を呑んで、同年の12月