Ⅰ 倭歌(和歌)の初出に関する瀬間正之教授の御指摘 1 『万葉集』に見える「倭歌」「和歌」 基本的には「和(こた)え歌」 ・唱和・応答の歌、という意で用いられる。 ・漢詩と対置される「やまとうた」ではない。 ⇒「和歌」は「こたえるうた」の可能性が強い。 「倭歌」は確実に「やまとうた」と理解できる。 2 「倭歌」の可能性がある事例 巻五・八七六題詞「書殿餞酒日倭歌四首」)現行注釈書 八七六~八七九番歌の四首は、前後の歌の年紀から見て、天平二(七三〇)年頃のものと見られ、この題詞が確実に「倭歌」であれば、これが最古例ということができる。しかし、万葉集諸本には異同がある。 「和歌」西本願寺本・神宮文庫本『萬葉集略解札記』…「倭」は「和」の誤りか 「倭歌」広瀬本・類聚古集・紀州本・細井本 但し、巻五目録は西本願寺本「書殿餞酒日和歌四首」広瀬本「書殿餞酒歌四首」 広瀬本題詞 西本願寺本題詞 広瀬本目