東京で『繪と文字の圖案化資料』と題した、現代人の目にはパチモン盛り合わせが八割みたいに映る図案+図案文字の本が堂々と売り出された二年後の昭和七年(1932年)、今度は大阪で十時柳江と同姓の図案家による図案文字集が刊行された。 十時惟臣の図案文字集それが☟十と時とき惟これ臣おみ『創作圖案字體大展(創作図案字体大展)』だ。 十時惟臣『創作図案字体大展』(昭和七年 元文社)判型は四六倍判の大型本。デザインの現場で頻繁に引っ張り出される実用書の常で、状態のよくないものが多い。これなどはまだ綺麗な方だ。 十時惟臣『創作図案字体大展』(昭和七年 元文社)表紙や外函、本扉のデザインを目にしただけでも、その中身がいったいどんなものかワクワクしてきてしまうおしゃれな本だ。 十時惟臣『創作図案字体大展』(昭和七年 元文社)発行は元文社 田中耕三郎。著者のことはまた後ほど、それからこの出版社については回を改めて