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ブックマーク / piano-fire.hatenablog.jp (13)

  • 勝手な意味を作る言葉の厄介な性質/柳父章『翻訳語成立事情』 - ピアノ・ファイア

    『「ゴッド」は神か上帝か』という、中国の聖書翻訳をテーマにしたがあるのですが、これがなかなか面白い内容でした。読んだのは七年前くらいでしょうか。 同じ著者の『翻訳語成立事情』というも面白そうだ、と最近書評を見掛けて気付き、合わせて読むことにしました。 「ゴッド」は神か上帝か (岩波現代文庫―学術) 柳父 章 岩波書店 2001-06-15 売り上げランキング : 409933 Amazonで詳しく見る by G-Tools翻訳語成立事情 (岩波新書 黄版 189) 柳父 章 岩波書店 1982-04-20 売り上げランキング : 21450 Amazonで詳しく見る by G-Tools 『ゴッドは〜』で提唱されていた「カセット効果」を、より多くの具体例を挙げて論じているので面白い。 カセットというのは「箱」の意味で、直訳しがたい外国語を「イメージだけの漢字の組み合わせや、近くても微妙

    勝手な意味を作る言葉の厄介な性質/柳父章『翻訳語成立事情』 - ピアノ・ファイア
  • 漫画の左右の向きの研究史 - ピアノ・ファイア

    今回はちょっと、主に漫画研究者へと向けた更新です。 泉信行の漫画研究ではたびたび言及され、中心的とも言えるのが「漫画に描かれたものの左右の向き」というテーマです。 泉信行(2005年〜) ネット上では2005年6月に発表、商業では同年12月から『ユリイカ』誌上で研究を展開してきました。 基礎原理の追究から応用法の発見、具体例の分析など、幅広く記述されています。 ネギま!で読む「ネームの文法」 - ネギま!で遊ぶ ユリイカ2006年1月号 特集=マンガ批評の最前線 青土社 2005-12 売り上げランキング : 406967 Amazonで詳しく見る by G-Tools ユリイカ2007年9月号 特集=安彦良和 『アリオン』から『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』まで 青土社 2007-08 売り上げランキング : 327445 Amazonで詳しく見る by G-Tools ユリイ

    漫画の左右の向きの研究史 - ピアノ・ファイア
  • 大場つぐみも『バクマン。』を最初から読み返したのだろうか? - ピアノ・ファイア

    今週の『バクマン。』で「一話完結じゃない一話完結」というフレーズが出てきました。 新七峰システムとの対決……自体はわりとどうしようもない話になってると思うのですが(福田さんの描かれ方も微妙だし……)、その対決にぶつけるべく主人公たちが考える「最高に面白い一話を作ろう」という方法論自体は、さすがに「マンガ家漫画」としての面白味を感じます。 この、「連載を最初から読み返すことで、伏線ではない描写を伏線にしてしまう」という手法自体は、おそらく『あしたのジョー』の逸話から得た着想でしょうね。 『あしたのジョー』を傑作に変えた「連載の読み返し」 『あしたのジョー』の場合は「最終回のアイディアが浮かばないちばてつやに代わって、編集者が『あしたのジョー』を最初から読み返した」というエピソードが伝えられています。 HGT版 あしたのジョー(8)<完> (講談社コミックスデラックス (1708)) ちば て

  • 「小説家になろう」というサイトと、電撃文庫『魔法科高校の劣等生』というイレギュラー - ピアノ・ファイア

    3月に電撃文庫からの書籍化が発表され、先月に1巻が発売、日から2巻がリリースされる『魔法科高校の劣等生』。 魔法科高校の劣等生 1 入学編 上 (電撃文庫 さ 14-1) 佐島 勤 石田 可奈 アスキー・メディアワークス 2011-07-08 売り上げランキング : 60 Amazonで詳しく見る by G-Tools魔法科高校の劣等生 2 入学編 下 (電撃文庫 さ 14-2) 佐島 勤 石田 可奈 アスキー・メディアワークス 2011-08-10 売り上げランキング : 17 Amazonで詳しく見る by G-Tools いわゆるWeb発のオンライン小説ですが、この作品を掲載していたのが「小説家になろう」というサービスです。 【出版作品紹介】魔法科高校の劣等生 - 小説家になろうグループ公式ブログ 【出版作品紹介】魔法科高校の劣等生? 入学編<下> - 小説家になろうグループ公式ブ

    「小説家になろう」というサイトと、電撃文庫『魔法科高校の劣等生』というイレギュラー - ピアノ・ファイア
  • ビジュアルノベルにおける「点々々」の使い分け - ピアノ・ファイア

    仮想ゲーム世界で広がる群像劇――『Romantic Sa.Ga』が面白い - 敷居の部屋 紹介記事から知った動画のシリーズ*1なんですが……。 「ロマンティック サ・ガ」 ハリアー さんの公開マイリスト - ニコニコ動画 最初に張った画像を見てもわかるように、三点リーダー×1(…)とナカグロ連打(・・・・・・)を併用したスタイルがちょっと話題になってました。 実際に作品を追ってみて、「おお、なるほど」と感じたのは、ひと呼吸の「間」は三点リーダー×1。長い沈黙はナカグロ連打。という使い分けで作中の書式ルールが完成していること。 逆に言うと、長い沈黙で三点リーダーを並べたものは見付けられませんでした。三点リーダーは純粋に「ひと呼吸の間」を表現する目的専用に使われていて、一般的な文章で用いられる沈黙(三点リーダーを並べた「……」)はすべて「・・・・・・」に置き換えられている。 つまりこれは、無作

    ビジュアルノベルにおける「点々々」の使い分け - ピアノ・ファイア
  • うまくない見開きの使い方/pixivの漫画投稿システムがダメな理由 - ピアノ・ファイア

    創刊号では「ムダな見開きが多すぎる」と批判され、第2号ではその見開き多用も「控えめになった」……などと話題だった雑誌『コミックギア』ですが、 コミックギア VOL.1 (まんがタイムKRコミックス ギアシリーズ) 芳文社 2009-08-11 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Toolsコミックギア VOL.2 (まんがタイムKRコミックス ギアシリーズ) 芳文社 2009-11-11 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools ……この話になると、たいていの人は「大ゴマ多用=悪」という単純な理解をしていることが多いと思います。見開きや大ゴマの「うまい多用の仕方」と「よくない多用の仕方」をあまり区別せずに、なんとなく「大ゴマはムダだから悪い」と考えているのではないかと。 逆に言えば、「うまい使い方の場合のうまい理由」を説明できていない、

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  • 【漫画論】漫画工学の可能性/つづきは「たけくまメモ」で! - ピアノ・ファイア

    つづきは「たけくまメモ」で ご存じ、竹熊健太郎先生のブログ「たけくまメモ」。 かつて「ちくま」に連載されていた竹熊さんの記事がぼくらにも読めるようになっています。 マンガと大学教育(1)「マンガ工学部」の可能性: たけくまメモ マンガと大学教育(2)「メディアという育成機関」: たけくまメモ マンガと大学教育(3)「マンガ編集者」は育てうるか?: たけくまメモ これは去年から今年頭までの間に書かれていた原稿だったようです。ところで、この内容と繋がっていくお話は、今年の4月に難波で催されていたトークライブでも触れられていました。 【告知】難波・モンタージュでトークライブ: たけくまメモ 4/30 「竹熊健太郎が語るマンガの黙示録」 in大阪 - イベント告知 - webDICE ぼくはちょうどその頃、竹熊さんから直接お会いしながら話を聞かせていただく機会もあったのです。だから「なるほど、あの

    【漫画論】漫画工学の可能性/つづきは「たけくまメモ」で! - ピアノ・ファイア
  • メディアと受け手の関係について考えなければいけないこと - ピアノ・ファイア

    某所で書いていたメモを手直しして転載。 ストーリーテラーにとって「描きたい展開」と「描きたい展開に持っていくための展開」はまるで別物なのに、それを区別できない受け手はホント見てて可哀想 例えば、自分のブログなんかの文章の前半だけ読んで、後半は読み飛ばしている読者から「あなたが前半で言っていることは最低です」とかコメントを付けられたら「あー(国語的な意味で)可哀想な人だな……」と思うでしょう 話の途中で「こんなものが描きたかったのか」などと印象を決め付けるのはそれと同じようなもの これは物語にかぎったリテラシーの問題のようですが、もっと日常的な「人の話は最後まで聞きなさい」に通じる問題かもしれなくて、「きっとこの人は、会話した時でも人の話を最後まで聞かないタイプなのかしら」という空気は、受け手の感想からでも伝わってくる気がすることがあります(←こういう先入観を「決め付け」と言いますが) しか

    メディアと受け手の関係について考えなければいけないこと - ピアノ・ファイア
  • サンデー低迷の理由/『ゲームラボ』5月号 - ピアノ・ファイア

    ゲームラボ 2008年 05月号 [雑誌] 三才ブックス 2008-04-16 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools 今月のゲーラボを読む。 伊藤剛さんの連載記事は、先月から引き続いてサンデーの部数低迷の原因分析。 サンデーは「反ジャンプ」「反マガジン」の精神を貫きとおして「繊細な良い子のための漫画」を主軸に据えていれば良かったのに、「“アツい漫画”をムリに載せようとして失敗しつづけきた」という見立ては一応通じる理屈なんではないかなと思います。 そして伊藤剛さんが具体的に(願望も込めて)言うには、『おおきく振りかぶって』はサンデーに連載していてほしかった、と。 おおきく振りかぶって (1) ひぐち アサ 講談社 2004-03-23 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools そういう意味で、今のサンデー編集部には「ウチは藤田組

    サンデー低迷の理由/『ゲームラボ』5月号 - ピアノ・ファイア
  • ピューリタニズムの天職観念と少年漫画の精神 - ピアノ・ファイア

    プロテスタンティズムの倫理と資主義の精神 (岩波文庫) マックス ヴェーバー 大塚 久雄 岩波書店 1989-01 売り上げランキング : 952 Amazonで詳しく見る by G-Tools カルヴァン思想などの流れから興味があったのですが、その手の世界では必読とされるを読んでみることにしました。 前もってペトロニウス先生からレクチャーを受けていた*1ので、細部の記述を読み飛ばしながらでも割とすんなり大筋を理解することができました。 読んでいてなるほど……と思ったのは、単なる「金儲け」という行為でも、「楽してお金儲けしたい(楽して暮らしたい)」という享楽的な精神と、「懸命に労働した対価(自己証明)としての大金を手に入れよう」という職人的な精神とを峻別できるような価値観が「発見」されたのは、つい百年前くらいのことだった、ということ。 ↑微妙に勘違いした読み方をしているような気もします

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    funaki_naoto
    funaki_naoto 2008/04/16
    「「朱子学のローカライズ」が一応の結論」なるほど。
  • イチ執筆者による「ユリイカ 総特集*荒木飛呂彦」の全体的な感想 - ピアノ・ファイア

    買って読んだ人向けの、各記事に対する私見的感想です。 自分の記事(イズミノウユキ名義)と、ジョジョ立ちとスタンド辞典に関してはコメント無しでいきます。 (でも自分の記事の誤字訂正はちょっとだけあります。→近況とエラッタ - ピアノ・ファイア) ユリイカ 2007年11月臨時増刊号 総特集=荒木飛呂彦〜鋼鉄の魂は走りつづける 青土社 2007-11 売り上げランキング : 10 Amazonで詳しく見る by G-Tools http://www.seidosha.co.jp/index.php?%B9%D3%CC%DA%C8%F4%CF%A4%C9%A7 男たちの奇妙な愛情 !? / 荒木飛呂彦×斎藤環×金田淳子 とりあえず、荒木先生の発言はどれも面白かったですよと。 自分は車田正美の直系だけど、BLEACHなんかは同人(という傍系)を経てから車田に戻ってるような感じだと分析するあたりとか

    funaki_naoto
    funaki_naoto 2007/11/17
    「紙媒体における「漫画語りの方法」には、まだ正解も王道も無いんですよ。「こう書けばいい」っていうのはまだ無いですよね」
  • 高島俊男『漢字と日本人』読了 - ピアノ・ファイア

    漢字と日人 高島 俊男 文藝春秋 2001-10 売り上げランキング : 30002 Amazonで詳しく見る by G-Tools 来漢字は日語とは無縁。だから日語を漢字で表すこと自体に無理があった。その結果生まれた、世界に希な日語の不思議とは? 日中国の文字である「漢字」を取り込んで日語を作り上げてきた、ということは常識としては知っていても、実際どのような変化を経てきたのかまでは知らないのが普通でしょう。そういう人の為に書かれたのようです。 著者は東大の大学院出のお爺さんで、お年寄りらしい反骨気質がゴリゴリと文章全体に溢れていて、何でもかんでもグチや説教に結びつける論調がやや難渋ではありますが、そこに目をつぶれば、我々が普段使っている言葉に対して広く視界を広げてくれる良書だと思います。 メインとなる主張は、「漢語(中国語)」と「和語(大和言葉)」が全く異なる言語体系で

    高島俊男『漢字と日本人』読了 - ピアノ・ファイア
  • 大人になっても漫画を読むということ - ピアノ・ファイア

    読書日記を兼ねて、少し真面目な話を。阿佐田哲也の『ギャンブル人生論』で印象に残った節を引用してみます。 著者である阿佐田哲也(色川武大)自身が、ある友人からその兄についての相談を受けるというくだりです。 p21 兄貴にしてみれば、つらかったろうなァ。兄貴に能力が無かったというのじゃないんだからね。これは、もともと能力というものは、社会に適応した能力と、適応しない能力があるんだ。兄貴の場合は多分その能力が後者だったに違いない。 p24 だから、多くの不良少年は能力が欠如して落伍していくのではなく、能力がありすぎるために破目をはずして土俵の外へ足を出すのである。 ギャンブル人生論 阿佐田 哲也 角川書店 1983-01 売り上げランキング : 202869 Amazonで詳しく見る by G-Tools 色川武大の人間観として、その作品世界に通底しているのがこういうものの見方であって、『麻雀

    大人になっても漫画を読むということ - ピアノ・ファイア
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