自分で自分の書いているものを「ややこしい」と言ってはばからない橋本治の新書の新刊。くねくねとしつこく物事を考えていく著者の本に魅入られている。しかし、どこがどう面白いのだ?読みたくなるようにおすすめしてくれ、と言われるとどうしたらいいのかわからないのも、また著者なのである。 この本は、『女そのものを格別に苦手と思うわけではないが、その”女”というカテゴリーに属する者の中に、苦手としか言いようのない女がいる(p7)』というところからタイトルがついている。読んでいくうち、これが女性差別を主に考えていく本だということがわかる。 女というものが歴史上ほとんど重要と見られてこなかった、この本で言う「男社会」という時代から、戦後豊かとなって、女性が社会進出するまでの過程を、著者お得意の源氏物語の時代の話や、裁縫(著者は裁縫の本も出しているくらい得意なのである)など家事についての話を交えながら語っていく