電車の車体に使われている数字は、各鉄道会社で同じ書体を見かけることがあります。一方、都営交通の中では微妙に形が異なっている文字がみられます。さまざまな場面で出会うタイポグラフィティを紹介する本企画の第3回目は、「車両番号の文字」について取り上げます。 国が鉄道を運営していた国鉄時代、駅や鉄道の書体を統一しようという動きがありました。現在も使われている車両番号の数字は、その時に開発された「貨車標記文字」がもとになっています(写真1)。この国鉄文字が、各鉄道事業者に共有され、代々使われてきました。鉄道会社が変わった現在でも、当時と同じ書体を使うことになったのです。 当時はまだデザイン作成のためのコンピューターが普及しておらず、車両番号の制作は人の手で行われました。サイズの異なる寸法つきの図面があり、それをもとに板を加工する銘版屋(めいばんや)が番号を拡大縮小して車両の数字を作っていました。 人
整備の注意を促す看板の文字の中には「職員の手書き」で書かれているものもあります。デザイナーではなく、職員自ら、その都度書いてきました。どの文字も古く、最初に書かれたのがいつだったのか、誰が書いたのかもわかりません。少なくとも最初に書いた人はもうここにはいません。 文字をよくみると、それぞれの書体に特徴があります。より注意を引くため、明朝体の「うろこ」と呼ばれる飾り部分をうねったように強調することで注意を喚起していたり(写真1)、うろこと縦画・横画(タテ線・ヨコ線)との強弱を激しくつけたり(写真2)と場所にあわせて変化しています。 整備場の文字の多くは職員の手書きです(写真3)。どの文字も個性的で、文字デザインによって注意喚起を行いたいという書いた人の狙いが出ています。その狙いは、新たな看板を書く職員によって受け継がれています。時間が経ち薄くボケてしまった輪郭線を別の職員が引き直し、その上に
道路標識のように、電車の運転に必要な標識が地下鉄には存在しています。その標識は、電車に乗っているお客様が目にすることはあまりありません。地下は暗いため、標識のデザインは、視認性に重点を置いています。黒や黄色、白、赤といった配色のコントラストも強く、遠くから見ても潰れない書体が中心。字というよりも「絵」として直感的に目に入ってくる文字を使った標識が多くみられます。 視認性を保つために、文字のサイズも詳細に決まっています。それは、ユニバーサル書体がなかった頃から受け継がれてきた、見やすさへの工夫のたまもの。さらに、遠くから見たときに文字が潰れないように、「ふところ」と呼ばれる文字内の空間が広く作られているのが特徴です。 例えば、手書きやカッティングシートで文字をつくる手法の標識(写真1)。工業的な直線が特徴で、ペンキの筆の形状により、書体の端が丸くなっているものやカットによって書体の端が直線的
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