荒川徹、日高優、ほか(分担執筆) 日高優(編)『映像と文化 知覚の問いに向かって』 京都造形芸術大学東北芸術工科大学出版局藝術学舎、2016年5月 本書は、〈知覚の問い〉を緩やかに軸として立てるという監修者の方針のもと、カメラという機械知覚による映像たる写真の出現から映画、テレビ、インターネットの動画配信まで、映像について扱い、思考している。執筆者は、監修者の私に加えて荒川徹氏を含む全三人。それぞれが五章ずつ担当し、上記の緩やかな方針以外は基本的に各々の責任で自由に執筆された。メディアが複合的に高度に発達した現代を担当した荒川氏の個所では、音と映像の同期、アートと映像、「圧縮」されたデータとしての映像といったテーマが、必然として多様に取り上げられている。 本書は、映像と文化を扱う多くの本がそうであるように、各種映像メディアの展開をおさえてはいるが、主眼にあるのはその各々が誕生してきた歴史的