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ブックマーク / repre.org (6)

  • 表象文化論学会ニューズレター〈REPRE〉:新刊紹介:『映像と文化 知覚の問いに向かって』

    荒川徹、日高優、ほか(分担執筆) 日高優(編)『映像と文化 知覚の問いに向かって』 京都造形芸術大学東北芸術工科大学出版局藝術学舎、2016年5月 書は、〈知覚の問い〉を緩やかに軸として立てるという監修者の方針のもと、カメラという機械知覚による映像たる写真の出現から映画テレビ、インターネットの動画配信まで、映像について扱い、思考している。執筆者は、監修者の私に加えて荒川徹氏を含む全三人。それぞれが五章ずつ担当し、上記の緩やかな方針以外は基的に各々の責任で自由に執筆された。メディアが複合的に高度に発達した現代を担当した荒川氏の個所では、音と映像の同期、アートと映像、「圧縮」されたデータとしての映像といったテーマが、必然として多様に取り上げられている。 書は、映像と文化を扱う多くのがそうであるように、各種映像メディアの展開をおさえてはいるが、主眼にあるのはその各々が誕生してきた歴史

  • 表象文化論学会ニューズレター〈REPRE〉:研究ノート (3)

    2014年3月11日から7月6日までパリのオルセー美術館で「ヴァン・ゴッホ/アルトー:社会が自殺させた者」という展示が行われている[写真]。「残酷の演劇」の提唱者として知られるアントナン・アルトー(1896-1948)が晩年に著した『ヴァン・ゴッホ:社会が自殺させた者』(1947年)を手引きとして、ゴッホの自画像および風景画、そしてアルトー晩年のデッサンを主として展示するという趣旨である。 アルトーの仕事に関しては、2006年11月から2007年2月にかけてフランス国立図書館で大規模な展覧会が催されたことが記憶に新しく、演劇・映画における俳優・演出家としての「顔」だけでなく、アルトーの遺産管理を一手に引き受けてきたポール・テヴナンが1993年に逝去したのちにポンピドゥーセンターに移管された晩年のデッサン類、そして国立図書館に移管された草稿類が包括的に紹介される機会となった。哲学者ジャン=リ

  • 表象文化論学会ニューズレター〈REPRE〉:研究ノート イレズミの虚実皮膜のあわい:作品・彫師・顧客

    0. 「ほりもの」は、この2,30年程のあいだに海外のタトゥーとの接触によって大きく変化した。多様なスタイルからの刺激、マシンやインク導入の加速による表現の選択肢の拡大は、ほりものを大小なりとも変質させ、同時に独自の「日」性へ意識を向けさせたと言って差支えないだろう。この背景には、表現技法の模索のみでなく、衛生管理や人体への安全性に対する意識の向上を図ったことがあった。より安全な道具や色素を求めることが常識となったこと、肌に彫るがゆえに制約されたメディウムと技法で彫師が独自の表現法を追求することが常であること。両者によって変化は起こるべくして起こったといえる(※1)。 日には現在3,000名(一説には5,000名)の専業彫師がいるとされるが(※2)、60代後半以上の現役のほりものの彫師は両手で数えられる程度である。彼らは、明治期生まれの師匠に直接師事した最後の世代であり、ほりものが確立

  • 表象文化論学会ニューズレター〈REPRE〉:トピックス (6)

    日時:2015年9月13日(日)13時~18時 会場:法政大学市ヶ谷キャンパス外濠校舎5階S505教室 シンポジウムは、伝統芸能、ダンス、スポーツなど、さまざまなジャンルの専門家がそれぞれの知見を持ち寄って、わざ(身体技法、スキル、達成すべき動き)の継承をめぐる研究や実践の報告・討議をおこなうという趣旨で開催された。専門を異にする10人の報告を通じて探求された問いは、「歴史のなかで、わざを記録するメディア(記譜・写真・映像)が発達し、教え手と学び手の間の社会的な関係が変化したときに、それはわざの継承の方法に、ひいてはわざそのもののあり方に、どのような影響を与えるのか? 」というものだ。 シンポジウムを企画した立場から、その成り立ちについて一言したい。文部科学省の共同利用・共同研究拠点に認定された法政大学能楽研究所の公募事業の一つとして、2014年度より「現代能楽における「型」継承の動態把

  • 表象文化論学会ニューズレター〈REPRE〉:小特集:座談会:「アートと思想と批評をめぐる出版の可能性」

    新しい小規模出版のかたち ── 現在日では、特に学生の間で人文的教養を求める風潮が減退して、文化・芸術・思想を扱う出版事業がたいへん困難な状況に直面しています。そもそも「文章とイメージを流通させる」という機能は、もはや出版物というパッケージの輪郭を必要とせず、ウェブ上で随時生成するあり方へと不可逆的に置き換えられつつあるようにも思われます。しかし一方では、電子出版の一般化や出版技術のパーソナル化を背景に、少人数による機動力を発揮した意欲的な出版事業者が出現するといった新たな動きも見られます。以上のような状況をめぐって、出版の最前線で活躍される皆様のご意見を伺えれば幸いです。まずは自己紹介をお願いします。 木村:アルテスパブリッシングの木村です。私は音楽之友社という音楽の専門出版社に19年間おりまして、同僚の鈴木茂と2007年にアルテスパブリッシングを立ち上げました。そこから丸8年になりま

  • 表象文化論学会ニューズレター〈REPRE〉:新刊紹介:『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか アニメーションの表現史(新潮選書)』

    細馬宏通(著) 『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか アニメーションの表現史(新潮選書)』 新潮社、2013年10月 副題には「アニメーションの表現史」とあるが、より正確にいえば「アメリカン・アニメーションの表現史」である。この領域については、特にアメリカのアニメーション・スタディーズにおいて歴史や表現論などすでに数多くの成果があるわけだが、それらの先行研究と比較してとりわけ優れているのは、このを読んでいると、20世紀前半のアメリカという国において、アニメーションの歴史を作り上げてきた人々の息遣いが感じられてくるという点である。当時の時代風俗や技術史、興業史などを紐解くのみならず、それらの要因が、その時代を生きた作り手たちの思考のフレームワークをどのように形作ったのか、そこまでこのは踏み込んで考えていて、結果的に、過ぎ去った時代で生きた人々の世界が眼前に立ち上がってくるのだ。(このを読みな

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