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ブックマーク / sessendo.hatenablog.com (3)

  • かつて心とナリフリは一致していた/『男の衣裳箪笥』古波蔵保好 - 古本屋の覚え書き

    瀟洒(しょうしゃ)なエッセイ。読み終えた後で、向井敏が絶賛していたことを知り、随分と気をよくしたものだ。まだ二十歳(はたち)の頃の話。そういや、VANやJUNが潰れたのも同じ時期だった。 ところで、日では、ナリフリはどうでも、リッパな心を持つことが大事だ――などという人が案外に多い。なるほど、モットモらしい言葉で、ナリフリのよさと心のリッパさと、どっちに値打ちがあるかとくらべたら、だれしもリッパな心に信頼を寄せたいはずだ。 だから言葉としては、正しいのだが、一種の観念論だ――と私は解している。また観念論なので、次元の高い言葉のように感じられるのだろう。 そういう言葉が、いつごろからはやりだしたのか知らないが、実は、むかしから、節度を重んじるサムライの社会では、服装は心構えの現れとみられていた。心とナリフリは一致していたのである。(中略)「ズール戦争」というイギリス映画があった。華麗な軍服

    かつて心とナリフリは一致していた/『男の衣裳箪笥』古波蔵保好 - 古本屋の覚え書き
  • エスピオナージュに見せかけた「神の物語」/『木曜の男』G・K・チェスタトン - 古本屋の覚え書き

    ・『絶対製造工場』カレル・チャペック ・エスピオナージュに見せかけた「神の物語」 私には魂胆があった。ある時代の風俗を知りたければその時代のミステリを読むのが一番だといわれる。世界を支配する力は富ではなく情報である。これは今も昔も変わらない。ある時代は巫女(みこ)や霊媒師が、またある時代は王や貴族が、そしてまたある時代は軍や政治家が情報を牛耳ってきた。現代ではメディアが一手に支配している。 例えば近年最も衝撃を受けた作品の一つに、アメリカテレビドラマ『24 TWENTY FOUR』がある。個人的にはこのドラマの捜査手法はかなり信憑性が高いと思っている。つまりこうだ。CIAやFBIの手の内を敢えてさらけ出すことで、視聴者に「ドラマ」として印象づける意図があるように感ずる。で、我々は「いやあ凄いもんだなー。でも、あれってドラマの中の話だよな」と結論を出してしまうのだ。 「民主主義の時代にあっ

    エスピオナージュに見せかけた「神の物語」/『木曜の男』G・K・チェスタトン - 古本屋の覚え書き
  • 柳田國男著『山の人生』について/『小林秀雄全作品 26 信ずることと知ること』 - 古本屋の覚え書き

    ・『小林秀雄全作品 25 人間の建設』小林秀雄 ・超能力に対する態度 ・柳田國男著『山の人生』について ・聴覚を失ったベートーヴェンに何が聴こえていたのか ・生演奏の音は「感受される質」 ・『学生との対話』小林秀雄:国民文化研究会・新潮社編 書の白眉は、柳田國男著『山の人生』を評している件(くだり)である。人間の歴史にはかくの如き事実が在った。なぜ、こんなことが在り得たのか。あるいは起こり得たのか。 当初私は戦慄した。嘘か作り話であって欲しいと願った。「そんな馬鹿な」という陳腐な感情でいっぱいになった。相前後して私の父が亡くなった。病没であれば人は納得がゆく。物語の結末として相応(ふさわ)しいものと考える。一方、事故死や自殺は、その不条理さでもって我々の「生」を揺るがし、有意味と無意味の反転を企てる。 小林の講演CDを聴いた。文士とは思えぬ名調子だった。江戸っ子特有のべらんめえ調には逆ら

    柳田國男著『山の人生』について/『小林秀雄全作品 26 信ずることと知ること』 - 古本屋の覚え書き
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