全国の霊能者たちが、その団地に次々と集まってきたのは、2000年晩秋のことだった。 あるものは悪霊を退散させようと、あるものは土地の祟りを鎮めようと、怯える住民たちに自らの見立てを説明していく。さらにマスコミ各社までもが、彼らを囲むようにして陣取り、激しい報道合戦を繰り広げる。 映画『来る』のクライマックスシーンさながら、郊外の団地は時ならぬ大騒動に巻き込まれた。 小さな前兆は、1999年春の時点ですでに始まっていた。 名古屋市街から車で一時間ほどの岐阜県・富加町。その一角に新築された町営「T住宅」に、ぽつぽつと入居者たちが住み始めた頃である。 時を置かずして、不審な物音が響いているとの訴えが、住人たちから漏れ出てきた。 「ギシッギシッ」と壁がきしむ音。天井を何かが「トトトトッ」と走る音。他にも「ガラス瓶が転がる音」「ノコギリで切る音」「トンカチで叩く音」など多種多様なノイズに悩まされてい
![vol.2 岐阜ポルターガイスト団地に「来た」もの――吉田悠軌の異類捜索記|晶文社](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/9259cd29a46335abf744e0a2cc4747c1a8d7001a/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fassets.st-note.com%2Fproduction%2Fuploads%2Fimages%2F32243549%2Frectangle_large_type_2_7041ec37360a8cea907b0306de0c4d12.jpg%3Ffit%3Dbounds%26quality%3D85%26width%3D1280)