翻訳この本の主な部分は、私がオックスフォード大学にて1991年のトリニティ・タームに行ったジョン・ロック講義の記録である。形式面において、私は講義で行ったものに対していくつか修正を加えた。文章の明晰さ・明確さがマシになるよう努めた。また、私は(講義で口にした)「来週」とか「先週」といった言葉を取り除いた。目で読むことを意図された、しかも恐らく――講義の文字記録なのだから――椅子に座って一回で読むものに、そういった言葉を残しておくのは馬鹿げていると思われたからだ。しかし、最終講義の終わりのあたりにあった、内容にとって本質的でない誤りを一つ直したのを除き、「講義1」に始まり「講義6」まで続くこの本に収められた文章は、オックスフォードで私が話したことをそのままの形で伝えようという意図のもと書かれている。 さらに言えば、この講義録は私が実際に行った講義の構成のままで、かつ当日の話し口調をそのままに