2013年7月23日、東京大学駒場キャンパスで文景楠(UTCP)による講演会「自然を論じること:マクダウェル・アリストテレス・プラグマティズム」が行われた。この発表は、UTCPによる若手中心の研究会〈思考のレトリック〉シリーズの第3回として開催されたものである。同じくUTCPの星野太と西堤優をそれぞれ司会とコメンテーターに迎え、約20人の参加者とともに二時間に渡って議論した。 発表者が問いの出発点としたのは、現代の我々の多くが(程度の差こそあれ)共有している「科学的世界観」というものが、どのような内実をもつものであり、我々の生活の実感をどこまでうまく説明しているのかという点である。科学的世界観の内実がそもそも非常に特定しづらいものであることはいうまでもないが、発表者は、特に因果的閉包性と自然の外部の否定をその重要な特徴として提示し、それが自由や規範といった人間的な領域の存在に疑問を投げかけ