都市国家シンガポールで、地下空間の活用について議論が高まっている。国土の狭いシンガポールで、現在540万の人口が30年には690万に膨れ上がる可能性があるからだ。 「690万人だろうと何百万人だろうと、この国にはいつもスペースの問題がついて回る」と、南洋理工大学の地下空間の専門家チャオ・ツィーイエは言う。「地下空間の活用はシンガポールにとって大きな選択肢だ」 地下活用の議論が始まったのは4年ほど前だが、メディアが大きく取り上げるようになったのはごく最近だ。この壮大な構想を唱えているコー国家開発相は、地下空間が活用されているカナダや日本の例をよく持ち出している。 だがシンガポールの地下には、既に全長約12キロの高速道路と80キロの鉄道路線が走っている。そこへ、ショッピングモールや広場、歩道、自転車専用道路までが加わる。約40年分のゴミを収容できる処理場や原油の貯蔵施設まで建設する計画もある。