宇宙開発や延命技術など、ピーター・ティールは、SF的な事業に投資してきた。だが、彼の“逆張り投資”は単に世界の常識に抗うだけのものなのか?ドットコム・バブルの生還者の過去を紐解けば、その投資哲学が見えてくる。 90年代後半のある夏の夜、学生起業家のマックス・レフチンは、スタンフォード大学の講義にふらっと立ち寄った。講義のテーマは、「政府権力の集中が招く危険」。講師の名をピーター・ティールといった。 チェルノブイリ原発事故のなかで旧ソ連を脱出した過去を持ち、全体主義を憎むレフチンはティールに好感を覚えた。意気投合した二人は、すぐにビジネスについても話し合う仲に。ティールは、レフチンの「暗号化技術会社」案に興味を示し、起業を勧めた。そして、手元から20万ドル出資することを約束。自ら、CEOを務めることも提案した。-こうして生まれたのがフィールドリンク社、のちに、簡易決済サービス「ペイパル」とな