石上三登志さんの『名探偵たちのユートピア―黄金期・探偵小説の役割』*1(東京創元社)を読み終えた。 例によって大学生協書籍部は入荷してくれない。しばらく様子を見ているうち我慢の限界を超えたので注文し、ようやく入手するという経緯が今回もあったけれど、読み終えたいまになっては、こんな苛立ちなど吹き飛んでしまった。すこぶる刺激的で面白い本だったからだ。 映画評論家、漫画評論家でもある石上さんは、いっぽうで子供の頃からの「探偵小説」好きであり、18歳の頃には自ら海外ベストテンを編み(実際は15作をラインナップ)、また江戸川乱歩の仕事にならってトリック類別をも試みたというマニアでもあった。そんな筋金入りの探偵小説マニアが齢を重ね還暦を迎えたあと、あらためてかつて熱狂させられた作品群を読み直すと、どんな感想が生まれてくるのか。… すると再発見につぐ再発見、いや新発見、だから「本読み」はやめられない。再