■正座して書いています 「部屋で正座して書いてます。締め切りが迫ってホテルにこもるときも、イスの上に正座してしまいます」 意外だった。たしかに意外なのがミステリーなんだけど。軽妙洒脱(しゃだつ)な文体から想像していた人物像はリセットを迫られる。取材時もネクタイきりり、背筋をピシッ。真摯(しんし)な創作態度が、言葉の端々から伝わってくる。読者投票で選ばれる「このミステリがすごい!」で作家別得票数1位になったことにも、浮かれる様子はない。 「書いて出すまでが仕事で、作品のクオリティーを上げることが本分。1位だからどうこうとは考えません」 最新刊は、デビュー以来書き継いでいる古典部シリーズの第5作。主人公の折木奉太郎(おれき・ほうたろう)は高校2年生に。彼が身近な謎を次から次に解いてゆく爽快(そうかい)さは健在で、軽快な文体にも磨きがかかる。「読みやすくないと、ロジックを楽しんでもらえないですか