『思想』の伊東豊雄、山本理顕対談を読みました。 バルセロナでは「建築が社会を変えること」が期待されていると言う伊東。ラテン・ヨーロッパの国々にはこうした気風があるという。近代建築の始祖であるル・コルビジェは、キュビズム由来の芸術としての側面と、社会変革の側面を重ね合わせて建築を作ろうと取り組み、伊東ら後進の建築家もその精神を受け継いでいるのだと言う。 コルビジェのアトリエは前川國男、吉阪隆正、坂倉準三という3人の日本人建築家を輩出しており、日本の建築にも直接的な影響を与えた。特に前川はコルビジェから学んだモダニズムを用いて多くの公共建築を手がけ、公共性に関わる提言を行った。前川は「社会性」を主張し、「市民の主張を叶える」のが建築家であるというスタンスを明快に打ち出していたという。 しかし前川から丹下健三の時代になると、日本において建築家の役割が変化してくる。つまり1950年代後半から60年