ラーメン二郎にまなぶ経営学 [著]牧田幸裕[評者]久保文明(東京大学教授・アメリカ政治)[掲載]2011年2月6日著者:牧田 幸裕 出版社:東洋経済新報社 価格:¥ 1,575 ■魅力の核心に伝道師的な顧客 超大盛りの麺、脂こってりのとんこつ醤油(しょうゆ)スープ、巨大なチャーシュー、円錐(えんすい)型に盛られる野菜。健康志向のこんにち、1400キロカロリーにはなろうかとも思われるこのラーメンが、そして基本的にラーメンの「大」と「小」、そしてチャーシューのボリュームしか選択肢を提供しない店「ラーメン二郎」が人気である。35ある直営店のほとんどで大行列ができる。本書は経営学的観点から、二郎の成功の秘密を分析する。 そもそもいろいろなメニューを揃(そろ)えるほど、店の個性は失われていく。体育会系的な学生に顧客を絞った戦略が成功の基本であるが、同時に、二郎が提供する価値は、巨大なラーメンを完食