社会部デスク 清水純一 福岡に勤務していた頃、ある役所の方と食事をしていたとき、共通の知人がいることが分かった。その人は途端に笑みをこぼし、声を弾ませて言った。 「よか男でしょ。私の悪友ですわ。あれのことなら、尻の穴のしわの数まで知っとります」 ぷっと吹き出すと同時に、すごい比喩を使う人だなあと感心させられた。人生を刻むのは顔のしわだけではないらしい。ご両人は幼なじみで、中学の野球部ではライトとセンター。その間を打球がゴロで抜けたりすると、監督に二人並べられてげんこつを食らったと言う。そうした関係が、人にとって本来秘密であるべき場所の様子に例えられている。 それにしても、美しくない。現実離れもはなはだしい。それなのに好ましく思えるのはなぜか。私がおかしいのか。 このような困惑から数年後、ああ、そうだったのか、と博多っ子の代名詞のような武田鉄矢さんのエッセーに教えられた。「ふられ虫がゆく!」