「部門ごとの生産性向上では成果に限界がある。人の庭に足を踏み込まざるを得ない」――。三井物産の真野雄司常務執行役員デジタル総合戦略部長は語る。真野氏は、DX(デジタルトランスフォーメーション)などで生産性の向上を達成するには、「全体を俯瞰(ふかん)し、部門をまたぐ業務プロセスを適切に設計しなければならない」と指摘。「礼儀正しく相手の領域へ越境できるのは、デジタルやITを担う部門だ」と力を込めた。 2024年3月27日に開催された「ITイノベーターズ会議」(日経クロステック主催)で、複数のエグゼクティブメンバー(幹事会員)が挙げた共通のキーワードがある。真野氏も言及した「越境」だ。 伊藤忠商事の関川潔情報産業ビジネス部長も、他部門や他組織と積極的に関わるべきだとの姿勢を示す。「DXやITの組織には、ビジネス部門とデジタル領域のパートナー企業をつなぐ『コーディネーション』や『ファシリテーション