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ブックマーク / antimainstreameconomics.blogspot.com (264)

  • 外国為替相場 その8 予想者たち

    かなり重度の風邪を引いてしまい、何日か寝こんでしまいました。 さて、外国為替相場については、Ustream や Youtube などでも様々な予想者がFX取引について解説をしたり、自分の予想法のCMをしたりしています。例えばラジオNIKKEIの「夜トレ」などもその一つです。そのいくつかを聞いてみて、思ったことを書いてみます。 ・まずFX相場の予想について、購買力平価(PPP)を基準にしている者は皆無です。これは言うまでもなく、ほとんどのFX取引が短期取引を想定しているのですから、当然といえば当然です。すべての人は為替相場が購買力平価から乖離していることを前提としているか、そもそも問題としていません。 ・金利については、多くの予想者が重要視していますが、金利平価説の観点から重要視している者は皆無です。これもブログで説明した為替相場決定要因からすれば、当然です。そもそも金利の高い方にポートフ

    gruza03
    gruza03 2013/12/27
    はっきりしていることは、為替相場がある一定期間は一定のトレンド(上昇または下降)を示したあと、逆転するだろうということだけです。しかし、トレンドがどれほどの期間、どれほどのペースで持続し、いつ反転する
  • 外国為替相場 その8 日米為替紛争

    為替相場をPPPから乖離させる要因・メカニズムを説明する前に、近年の円・ドル関係について一言。 これまで述べたことから明らかとなるように、ドル安または円安を導く最も確実な方法(政策)は、円に対する需要またはドルに対する需要を喚起することです。つまり、米国からすれば日の金融資産を購入する動きを生み出すことであり、日からすれば米国の金融資産を購入する動きを促すことです。そして、そのための最も効果的な政策手段は、国内金利を引き下げることによって相手国との相対金利を引き下げることです。 また多くの人に自国通貨安に適合的な「期待」を持たせることも手段となりえます。 実際、バーナンキ議長の下にあるFRBは、近年、なりふりかわまず、QE1〜3(量的緩和)、預金準備率の引き下げ、政策金利の引き下げを通じてそれを行なってきました。円買い・ドル売りの為替取引のトレンドは、おそらくそれと関連していたと思われ

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    gruza03 2013/12/27
    新古典派の経済学者は、自由市場に介入してはいけないと主張します。そして、TPPやらWTOのドーハランドなどを「自由貿易」の実現として賛美します。
  • 外国為替相場 その7 ISバランスと貿易収支

    これまで外国為替相場がPPP(購買力平価)で落ち着くことはなく、むしろそこから乖離させる何らかの力(例えば国際資移動、バンドワゴン効果など)が作用していることについて書いてきました。これについてさらに詳しい説明をする前に、ISバランスと貿易収支について書いておくことにします。 初歩のマクロ経済学でも次の式は必ず出てきます。 Y=D=C+I+G+(XーM)       有効需要の構成 Y=W+R                所得分配 Y=C+S+T                                                     総支出の構成 上の式は、一国(ここでは日としておきます)の総生産=総需要(有効需要)の構成を示す式です。通常、企業は売れるという見込み(つまり有効需要の期待)のもとに生産します。したがって消費財に対する需要C、生産財に対する需要I、政府支

    gruza03
    gruza03 2013/12/27
    1997年に一撃(資本の流出・逃避)があり、これら諸国の通貨は大幅に減価しました(激しい通貨安です)。
  • 外国為替相場 その6 BTEXとAEX(図版修正)

    明日からしばらく居所を不在にしますので、しばらくブログの更新ができなくなります。今日は、外国為替相場の決定メカニズムを格的に構築するための準備作業をしておきたいと思います。 まず前に説明した新古典派によるPPP(購買力平価)の理論ですが、それがいくつかの国・地域では長期のケースで成り立つことがあると述べました。一つの理由としては、それは国際資移動(外国直接投資とポートフォリオ投資(証券投資)の合計)が貿易取引(フロー)に比べてかなり小さい時期と地域だからという事情があります。 そこで、まず外国資移動がゼロか、または貿易取引に比べてかなり小さい場合を考えてみます。そして、その場合には購買力平価が為替相場を決定すると想定します。さらにそれによって決まる外国為替相場をBTEXと表示することにします。(BTEXは、Balanced -Trade Exchange Rate、つまり貿易収支を均

    外国為替相場 その6 BTEXとAEX(図版修正)
    gruza03
    gruza03 2013/12/27
    新古典派の人たちも、米ドルや日本円の<需要と供給>の関係が為替相場を調整すると認めているのです(上記を参照)。ところが、米ドルや日本円の<需要と供給>を生み出すのは、貿易取引だけではありません。
  • 外国為替相場 その5 ランダムウォーク

    1983年に、IMFの若いスタッフだった ミーズとロゴフ(Richard Meese and Kenneth Rogoff)が、ある論文(Empirical Exchange Rate Models of the 1970s: Do They Fit Out of Sample?, The Journal of International Economics, 1983, Volume 14)を書きました。それは、どのモデルが外国為替相場を最もよく予想するかを検証したものでした。彼らは、それをAmerican Economic Review誌に投稿しましたが、「ゴミ」として拒絶されたと言われています。 さて、彼らの論文の結論ですが、最もパフォーマンスのよかったモデルの前提とされていた考え方は、「今日のスポット相場が明日のスポット相場を最良に予想させる」(ランダムウォーク)というものでした。

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    gruza03 2013/12/27
    古典派経済学風に言えば、使用価値を持ちません。その価格は、費用以外の別の要因、特に(仮に供給を所与のものとすると)それらを購入するのに支出された貨幣量(需要)に依存します。
  • 外国為替相場 その4 利子率平価

    国際資移動が貿易取引の40倍以上にも達しており、またグローバルな貿易不均衡が存在している現在、貿易収支の均衡をもたらすPPP(購買力平価)が外国為替相場を決定する要因であるという新古典派の見解が現実離れしていることを強調してきました。 しかし、新古典派には、利子率平価の理論、およびそれと近い関係にある「ドーンブッシュ・モデル」などがあることに言及しなければ、不公正となるでしょう。これらの理論、特にドーンブッシュ・モデルは、ともかく為替相場の決定要因を(利子率を介してであれ)国際資移動に関係させ(かけ)たという点で、評価されるべきかもしれません。 しかし、あらかじめ指摘しておけば、これらの理論も、結局のところ、為替相場が完全雇用や貿易収支の均衡など、国内・国際的な実体経済の均衡を実現する点に落ち着くことを示そうという呪縛から抜けきれていません。 ドーンブッシュ・モデルは若干複雑なので、そ

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    gruza03 2013/12/27
    やはりケインズが鋭く見抜いたように、「信条」か、さもなければ「権益」が災いしているようです。
  • 外国為替相場 その3 貿易取引と国際資本取引

    もし国際資取引が存在しないか、それとも貿易取引に比べて非常に小規模にとどまっていれば、現実の外国為替相場は、購買力平価(PPP)に近いものになる可能性があります。その理由は、外国為替取引の動機が貿易を中心とする実需取引によってほとんど説明されるからです。また、その場合には最初に(その1)で述べたように、輸出と輸入を均衡させるような力が作用すると考えることができます。 しかし、BISの調査(最新の調査は2010年4月)が定期的に明らかにしているように、実際には貿易取引の40倍以上の外国為替取引が行なわれています。このことは、貿易の何十倍もの(例えば)米ドル為替や円為替の売買が行なわれていることを意味しています。 このような状態を考えたときに、貿易取引(輸出と輸入)は為替相場に影響するけれども、国際資取引は為替相場に影響しないとアプリオリに(先験的に、apriori)に判断する根拠はあるで

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    gruza03 2013/12/27
    現実の外国為替相場は、購買力平価(PPP)に近いものになる可能性があります。その理由は、外国為替取引の動機が貿易を中心とする実需取引によってほとんど説明されるからです。
  • 外国為替相場 その2 新古典派の信条

    為替相場の決定理論に限らず、新古典派には絶対に譲ることのできない「信条」とも呼ぶべきものがあります。それは、市場均衡と市場効率性の理論、合理的期待、セイ法則と呼ばれるものなどです。 彼らは、それらの原理を必死に護ろうとします。私などは「現実世界の経済学」を明らかにすることを目標としているので、ポスト・ケインズ派や制度派の見解(不均衡の存在、不確実性、市場以外の制度の重要性、有効需要の固有の原理など)を現実的なものとして何の抵抗もなく受け入れることができますが、おそらく特に米国の主流派・新古典派・正統派と称する人々は、それらを受け入れたら現代経済体制の正当性を基礎づけられなくなるという宗教的な使命感を持っているのでしょうか、とにかく必死になるのです。 もちろん、経済学が宗教であれば、信仰箇条を護るのは立派な態度と言えるでしょう。しかし、残念ながら経済学は宗教ではありません。社会科学です。J・

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    gruza03 2013/12/27
    新古典派の「思想」・「信条」(市場均衡、市場効率性、合理的期待、セイ法則、完全雇用など)から自由にならない限り、現実経済の動きを見極めることができず、外国為替相場の動きの背後にあるものを理解できない
  • 外国為替相場 その1 購買力平価説

    これから外国為替相場について何回か説明することにします。 まず外国為替相場に関する主に新古典派的な見解を紹介し、その後にポスト・ケインズ派・制度派の理論を紹介しますが、今回は第1回目として新古典派の「購買力平価」説(英語のpurchasing power parityからPPPと略称されます)を取り上げます。 これは、次の3つの主張から成ると言ってもよいでしょう。 1 自由な国際商品市場では、同一商品の価格は同じになる(一物一価の「法則」)。 2 したがって外国為替相場は、各国の商品の相対価格の変化に応じて変化する。 3 上の価格メカニズムを通じて貿易収支は均衡(balance)を達成する。 これだけのことですが、若干解説しましょう。 まず簡単のためにA国とB国があり、一種類の商品xしか生産・取引されていないとします。いまその商品の価格(一単位あたりの単価)がA国で20ドル、B国で2000

    gruza03
    gruza03 2013/12/27
    購買力平価説は、為替相場も主に貿易財の(加重)平均値の変化率(これを貿易財インフレ率と言うことにします)に応じて変化します。実質的な為替相場はまったく変化していません。
  • 為替相場を決めるメカニズムと要因は?

    John T. Harvey という米国の経済学者の書いた Currency, Capital Flows and Crises, A Post Keynesian Analysis of Exchange Rate Determination,  Routledge, 2010. というを読み、翻訳する作業を進めています。(直訳すると、『通貨、資移動および危機 為替相場決定のポスト・ケインズ派による分析』となります。) 外国為替相場というと、新古典派の理論は、貿易取引(フロー)に焦点を置いた「購買力平価」説、市場均衡、合理的期待などにもとづいて理論を構築しようとしており、ことごとく失敗しています。これに対して、ジョン・T・ハーヴェイの著書は、ポスト・ケインズ派の見解にもとづいて為替相場決定のメカニズムと要因を明らかにしようとしています。特に貿易フローの40倍にも達する資移動(その中

    gruza03
    gruza03 2013/12/27
    外国為替相場というと、新古典派の理論は、貿易取引(フロー)に焦点を置いた「購買力平価」説、市場均衡、合理的期待などにもとづいて理論を構築しようとしており、ことごとく失敗しています。
  • インフレーションとはどのような現象か?

    インフレーションとは、普通、物価水準が持続的に上昇することをいいます。「物価水準」というのは、特定の商品に限らずに、様々な商品の平均価格のことを指し示します。また季節変動や短期的な変動の上昇局面を除外するために「持続的に」という限定後を付しています。 さて、このインフレーション、略してインフレですが、日では1990年代に終息し、むしろデフレーション(物価水準の持続的な低下傾向)が続いてきましたので、現在20歳以下の人にとっては経験したことのないものとなっています。ところが、ごく最近、安倍首相の「リフレ論」(2%のインフレ目標、そのための金融緩和策)が注目されてから、インフレとは何かが注目されるようになりました。 そこで、ちょっととりとめもない話になるかもしれませんが、インフレにまつわる話をしてみます。その際、1980年代以前と1990年代以降では、インフレの取り上げられ方がまったく異なっ

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    gruza03 2013/12/27
    つまり要約すると、インフレは人々(産業間)の「所得分配をめぐる紛争」から生じていたのです。小さなパイを分配するときにはケーキを切る母親の切り方に厳しくなるのと同じです。
  • 現実世界の経済学 Globalization and Society: 安倍さん! 企業家は賃金をあげないといっていますよ!  2013年2月3日日曜日

    安倍首相が「リフレ論者」となって、インフレ率を2%にあげると言っています。ブログもこれに非難的な見地から言及してきました。 しかし、今日は百歩譲って、インフレ率が2%上昇し、それと同時に経済が好調になり、人々の所得が実質で(例えば)3%上昇するとしましょう(景気を良くするといっているのですから、まさか1、2%ではないでしょうね?)。簡単のために、労働力の総数や就業率は変化しないとします。 そうすると、もし労働者(どう控えめに見ても国民の80〜90%を占めるでしょう)が実質的に所得を3%拡大するためには、2%のインフレ率を含めると約5%の貨幣(名目)賃金を引き上げることが必要になります。 ところが、です。テレビを見ると企業家の中には賃金引き上げなどとんでもないといっている者がかなりいます。 安倍さん、どうしますか? 安倍さんの「やる気」を無視し、景気拡大の「期待」などをさらさら持つ気などな

    gruza03
    gruza03 2013/12/27
    ここは、是非、「リフレ派」の諸君と同じように、「期待」を持つことが如何に重要かを日本の経営者諸氏、特に日本の経営者団体やそれらに加盟している会社に説得させて、給与の大幅アップを実現させて欲しいものです
  • 安倍のミックスを経済学する その6

    それでは、経済の実相はどうなのでしょうか? ここでは、2つのことに言及してから、安倍のミックスを評価に移る事にします。 1 ゼロ成長でも、雇用(労働需要)は低下する。 現実の経済では、Y=C+I という式を理解しなければなりません。ここで Y は GDP であり、C は消費支出、I は投資支出です。例えばある年の GDP が500兆円の国で消費支出が400兆円、投資が100兆円とします。また景気が悪く、翌年も GDP、消費支出、投資支出が前年と同じとします。このようなゼロ成長でも問題はないではないかという人がいますが、それは大きな誤りです。 というのは、確かに生産量は同じですが、労働生産性が成長し、そのために雇用(労働需要)が減少するからです。 上の例では、粗投資から減価償却費を差し引いた純投資がプラスならば、生産財(投資財)が生産され、資ストックは増加します。また資ストックの量が増え

    gruza03
    gruza03 2013/12/26
    現実の経済社会では、「実質所得」ではなく、名目(貨幣)所得の世界で生きています。たとえ物価水準が低下するデフレーションが生じていても、貨幣賃金の低下は人々に不安を与え、有効需要の低下を導くのです。
  • 安倍のミックスを経済学する その5

    <新古典派の雇用理論> 昔、アメリカ経済学会長を勤めたこともある経済学者のガルブレイス(J.K.Galbraith)は、私の尊敬する人の一人ですが、次のようなことを言ったことがあります。 新古典派経済学の教えは、富者はお金が少なすぎるので働かず、貧者はお金が多いから働かないという2つの命題に要約できる。 これは職人技ともいうべき新古典派の思想の要約です。 実際、新古典派の労働市場論では、実質賃金が均衡水準より高いと企業の労働需要が労働者による労働供給より小さくなり、その差(労働供給ー労働需要)が「自発的失業」を生み出すと主張します。 またフリードマンの「自然失業率」の「理論」は、政府の労働保護や労働組合の介入という市場外の要因のために実質賃金が均衡水準より高くなるために各国・地域にはその労働市場構造に特有な「自然失業率」が成立し、しかもその失業率以下に現実の失業率を引き下げようとしても無駄

    gruza03
    gruza03 2013/12/26
     新古典派経済学の教えは、富者はお金が少なすぎるので働かず、貧者はお金が多いから働かないという2つの命題に要約できる。インフレーションを抑制するために、一定の高い失業率が必要だと主張するにまで至る。
  • 安倍のミックスを経済学する その4

    ここで理論、というよりちょっと理屈っぽい話に移ります。 安倍のミックスを喧伝する人々(エコノミストたち)が滅多に触れないことがあります。それは労働者の貨幣賃金と企業の利潤のことです。しかし、これは非常に重要であり、その理解なしに経済を正確に把握することはできません。 ある年の国民全体の生産額と所得 Y は、賃金 W と利潤 R の合計です(Y=W+R)。 また国民全体の生産量(産出量)を Q で示します。したがって、抽象的には価格 P は次の式で示されます。 P=Y/Q=(W+R)/Q     (1) これはいつでも、どこでも成立する恒等式です。この式をじっと見てください。すると、物価水準が上がる時には、生産量の成長率を超えて所得が増えることが分かります。次にその所得は賃金と利潤からなるわけですから、物価水準が上昇するときは、賃金か利潤の少なくとも一方は上昇することを意味しています。この式

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    gruza03 2013/12/26
    現実世界の経済学を構築するためには、価格、所得分配、経済成長が全体としてどのような調整を経て変化するのかを理解しなければなりません。
  • 安倍のミックスを経済学する その3

    3番目の点に移ります。 物価水準の変化(インフレーションやデフレーション)と経済(雇用、景気、所得分配など)は実際には、どのような関係にあるのか? この点も経済学歴史の中で長らく議論されてきた問題なので、いくつかの論点があります。ここでは、さしあたり、次のような論点をとりあげることにします。 1 物価水準の変化と景気・雇用の現実の歴史統計上の関係 2 物価水準の変化と賃金との関係を説明する理論 3 物価水準の変化と景気、雇用の関係を説明する理論 ここでは、以上のうち、さしあたり1を説明します。この理解なくして、抽象理論だけで現在の状況を説明することが不可能だからです。 比較的高齢者の人はご記憶にあると思いますが、戦後の世界では、OECD諸国全体では1970年代まで、日では1980年代まで、インフレーションが生じ、同時に景気がよいという状態が続きました。インフレーションは特に1960年代

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    gruza03 2013/12/26
    賃金を圧縮することは、労働者の所得を、したがって貨幣賃金からの消費支出=需要を抑制することを意味します。 実際、このことを実証するデータには事欠きません。
  • 安倍のミックスを経済学する その2

    2番目の論点に移ります。つまり、中央銀行は貨幣量を裁量的に(外生的に)決めることができるか否か、という問題です。 この点について、貨幣数量説論者はそれが可能だと考えていることは既に(その1で)説明しました。しかし、①仮に中央銀行が市中銀行に対する貨幣供給量(マネタリーベース。日銀当座預金と発行日銀券)を増やすことができるとしても、それと、②市中銀行が企業等に貸し付ける金額(M2などの貨幣ストック)を増やすこととは、直接連動していまん。そこで、貨幣数量説論者(岩田規久男、高橋洋一氏など)はどうしてそうだと考えているのかが、大きな疑問となります。 人の頭も中をのぞいてみることができないので、想像するしかない点もありますが、大きく言えば、彼らは以下のような論理を持っていると言えるでしょう。(ちなみに、バーナンキFRB議長やマネタリストの大家、フリードマンも貨幣数量説論者であり、彼らの意見も参考に

    gruza03
    gruza03 2013/12/26
    マネタリーベース(中央銀行の市中銀行への貸出)の比率が安定しているので、増やせば、前者も増えるという論理を使う。まだ経済学を学び始めたばかりの善良な経済学部の新入生ならそれに騙されるかもしれません
  • 安倍のミックスを経済学する その1

    安倍首相の経済学という意味で「アベノミックス」なるものが喧伝されていますが、きちんとした経済学(political economy)の立ち場から見れば、ごた混ぜの「安倍のミックス」に他なりません。 ここでは、19世紀以降の経済学と経済分析の歴史を踏まえ、経済学の巨人たちの構築した「現実世界の経済学」の観点から「安倍のミックス」を解剖しながら、日の経済社会の実相を把握し、「安倍のミックス」に代わる代替案を考えてゆきたいと思います。 最初に2パーセントの「インフレ・ターゲット」をめぐる論点を取り上げます。しかし、これもそれほど簡単ではなく、次のいくつかの議論を理解しなければなりません。 1 物価(一般物価水準)は貨幣供給によって決まるのか? (貨幣数量説の問題) 2 中央銀行(日では日銀行)は、貨幣供給(M2など)を外生的に決められるか? (貨幣は外生的か内生的か?) 3 インフレーショ

    安倍のミックスを経済学する その1
    gruza03
    gruza03 2013/12/26
    高橋洋一デタラメの本。彼は貨幣数量説が欧米では正しい理論として扱われていると述べていますが、確かに貨幣数量説を信奉している人もいます。私が知っているまともで、偉大な経済学者はすべてそれを否定しています
  • ブラッック企業となった日本政府

    ハッシュ・ハッシュ・ゲームという遊びがヨーロッパにあるのをご存知でしょうか? これは一方の手でボールを与えながら、他方で奪うというもののようですが、日の政府が行なってきた(いる?)のも、そのようなものです。一方で、雇用を増やすためといいながら、各種の補助金を出しながら、他方では雇用を奪うような施策を実施する。 私も各種の(地方の)審議会に学識経験者として出席したことがあり、(末端の)行政の人が一所懸命にやっていることは否定しません。問題は、もっと上の、中央のレベルの話です。 言うまでもなく、現代の企業家経済(資主義経済)では、雇用(労働需要)は基的に民間企業の生産によって生まれます。生産量が増えれば、雇用は増えます。また労働生産性が高ければ(つまり、一人あたりの生産できる量が大きければ)、同じ生産量でもよりすくない労働力で生産を行なうことができるでしょう。 この簡単なことが現代の経済

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    gruza03 2013/12/26
    世も終わりです。インフレーションという圧力をかけて強制的に消費需要を増やそうとは! これが政府やまともな経済学者の言うことでしょうか。1997年以降に生じてきた事態は賃金デフレーションの悪循環です。
  • 地方公務員の給与削減? 安倍首相、冗談でしょう?

    安倍内閣の麻生氏が地方公務員の給与削減を要請したとか? 国家公務員の7.8パーセント、2年間の削減にならって地方公務員も削減するべきと要請したと報じられています。 しかし、安倍首相は、景気対策を重視して国債発行を過去最高の52兆円とし、2パーセントのインフレターゲットを設定し、そのために量的緩和を初めとする金融緩和策を行なうと発言しています。 一方で、景気をよくするといって金融緩和と財政支出をしながら、他方で公務員の給与を削減するというのは、末転倒の矛盾した行動だということが安倍氏には理解できていないのでしょうか? もしそうだとしたら、とても残念なことなので、それが矛盾していることをここで教えてあげたいと思います。 一国の経済では、生産と所得は事後的に一致します。そこでそれをYで示します。 ところが、Yは、分配面から見ると、賃金Wと利潤Rに分かれます。式では、 Y=W+R 一方、所得は支

    gruza03
    gruza03 2013/12/26
    しかし、公務員の給与を削減すれば、まわりまわって自分たちの所得も減少するという悪循環が生じることは眼に見えています。