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ブックマーク / antimainstreameconomics.blogspot.com (264)

  • 輸出企業の消費税のゆくえ

    今日から消費税が増税されました。 さらに来年度には10%に引き上げられる予定となっています。 さて、この消費税ですが、外国に製品を輸出している企業=輸出企業は、どのような扱いになるのでしょうか? いま日の企業(X社)が100億円の商品を国内で販売する場合を考えます。この場合、X社は108億円で販売し、8億円を政府に納めることになります。 しかし、外国に輸出する場合は事情が異なります。例えば米国では消費税(付加価値税)は課税されませんので、X社は100億円で販売することになり、8億円の消費税を支払うことはありません。輸出企業は消費税を免れているわけです。 もちろん、100億円の製品を生産するために、X社は他社・下請企業等から原料や部品等を購入しているでしょう。その金額が例えば80億円としましょう。この場合、74億円が消費税を差し引いた金額であり、6億円が消費税となります。もちろん、この6億

    gruza03
    gruza03 2014/04/02
    米国の企業が日本に輸出する場合には、日本政府に消費税を支払わなければなりません。消費税は、事実上、輸出奨励的な機能と(輸入関税と同様に)輸入阻止的な機能を果たすことになります。
  • 久々のベースアップ しかしわずか千円、2千円とは!

    今年の春闘では、10数年ぶりでベースアップが行われたと、ニュースが大騒ぎしています。たしかに10年以上にわたって日の給与水準が低下してきたのですから、大きなニュースとなることは間違いありません。 しかし、おかしい点がいくつもあります。何点か指摘したいと思います。 ・安倍政権は、2%の物価上昇で景気がよくなるという「アベノミクス」なるものを宣伝してきました。しかし、それならば人々の(名目)所得も2%以上に増えなければなりません。そうでなければ実質所得が低下するからです。 日の平均給与(月額)がかりに30万円として、その2%は6千円となります。つまり30万6千円になってはじめて実質所得が同じです。 それなのにたった千円や2千円では、所得の実質的な低下になります。 もちろん、賞与(ボーナス)による上昇はありますが、給与の増加をそれに依存させるということは、経営者も従業員も将来に対する安定的な

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    gruza03 2014/03/15
    もし2%の物価上昇が続くのに、それに応じる所得の増加がなければ、99%の人にとってアベノミックスとは何でしょうか。
  • 官・民二分法の欺瞞

    この国では、しばしば「官」と「民」という言葉が使われます。しかも、その際、「官」には否定的な語感が感じられ、「民」には肯定的な語感が含まれていることは、多くの人が感じていることと思います。 しかし、官、民とはいったい何でしょうか? まず官は官僚の官を連想させます。「官僚制はよろしくない、なくすべきべきだ。」こんなところでしょうか。 一方、「民の声は神の声」(Vox populi vox dei.)などという言葉があり、こちらは肯定的な響きがあります。 しかし、「官と民」という言葉を多用する人(例えば竹中平蔵氏など)が、「民」というとき、実際には人々(諸個人)という意味で使っているのではなく、会社やビジネスという意味で使っていることに気づいている人は多いと思います。 ちなみに、ガルブレイスの著作に『悪意なき欺瞞』(ダイヤモンド社)というがありますが、原著では corporate secto

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    gruza03 2014/03/05
    「官と民」という言葉を多用する人(例えば竹中平蔵氏など)が、「民」というとき、実際には人々(諸個人)という意味で使っているのではなく、会社やビジネスという意味で使っていることに気づいている人は多い
  • 世界の合計特殊出生率の変化

    国連「経済社会事情局」が世界各国・地域の時期別の合計特殊出生率に関するデータを公表しています。 1950〜1955年には、OECD諸国でも、合計特殊出生率(TFR、女性が一生の間に生む子供の平均的な数)は、OECD諸国でも2.5以上であり、中南米、アフリカ、中東、南アジアおよび東アジアでは5以上の国・地域が多く見られました。この時期はグローバルな人口爆発が心配された時期でした。 しかし、21世紀初頭までに事情は大きく変わりました。先進国の多くでは、TFRは2以下に低下し、他の国・地域でも2〜3またはそれ以下に低下しています。サハラ以南のアフリカ諸国では依然として4以上、中には7を超えている国も見られますが、中南米、中東、南アジアおよび東アジアでは、かなり低下しています。 こうした変化は決して否定的に捉えるべきことではありません。一つには、伝統的な社会では高い乳幼児死亡率が見られたため、次世

    世界の合計特殊出生率の変化
    gruza03
    gruza03 2014/03/05
    ケインズの経済学を批判しようとして、マクロ経済学をミクロ経済学によって(のみ)基礎づけようとするものもありますが、それは完全に失敗しています。人口についても同じことがいえます。
  • ヨーロッパの伝統的家族と相続 4 帝政ロシアの農業共産主義的伝統

    フランスの家族と相続に移る前に、もう少しロシアの事情について触れておきます。 前回、ロシアの均分相続を伴う共同体家族と土地割替を伴う村落共同体について触れましたが、実は後者は19世紀から現在にいたる歴史学のきわめて大きな主題でした。 土地共有制というのは、世界的に見て決して珍しいものではありません。例えば古代中国の「均田制」やそれに倣ったとされている古代日の「班田収受の法」は、国家の土地(公地)を公民に分与し、それに対して王朝国家が労役や生産物を徴するという制度(マックス・ヴェーバーは「ライトゥルギー」と呼び、そのような国家をライトゥルギー国家と呼びました)でした。したがって労働能力を失った人からは土地は収公されます。現代に近いところでは、近世沖縄の土地割替慣行が知られていますし、インドネシアのデサ共同体(desa)や、オスマン・トルコ治下のエジプトの土地制度がそれに類似しています。 し

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    gruza03 2014/03/01
    ここで注意しなければなりませんが、自由占取の時期が終われば、自動的に土地割替を伴う土地共有制度に移行するというわけではありません。
  • ヨーロッパの伝統的家族と相続 2 不平等相続・一子相続制の帰結

    家族類型がどのような経済事情と関係していたかを深く知るためには、それを静態的にではなく動態的に考える必要があります。つまりライフ・サイクルや人口動態の中で家族の問題を考える必要があります。 まず出発点として人口が一定の場合を考えましょう。例えば合計特殊出生率が3〜4(つまり一人の成人女性が平均して出産する子供の数が3、4人)であり、そのうち2人が成人し結婚するような人口の長期的な定常状態を考えます。この場合、社会全体では、人口は長期的にほぼ一定となり、男女比もほぼ50対50になると考えることができます。もちろん、このような状態の下では、どのような相続規則であっても、子の世代は親の世代から同じ面積の土地(耕地)を受け継ぐことができます。 ただし、これは平均すればということであり、個別の場合には必ずしもそうはいきません。特に平等な相続の場合はそうです。しかし、不平等相続・一子相続の場合は、着実

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    gruza03 2014/02/28
    農村にあって富裕な農民たちのために働き生活の資を得るか、農村工業(近年「プロト工業」と呼ばれるもの)に従事して給金を得るような階層でした。それはいわば農村過剰人口の現実的な存在形態でした。
  • ヨーロッパの伝統的家族と相続 1 19世紀以前の状態

    家族(家計、世帯)は、現代の経済学でも重要な経済主体として扱われています。 しかし、今日では主に企業が生産と流通の活動を担っているため、分析対象としての家族(=家計、世帯)の重みは低下しているように思われます。 とはいえ、家族は現在でも依然として消費の主体であり、また労働力を育て上げる上で決定的に重要な役割を演じています。 さらに時代をさかのぼると、家族は生産の主要な担い手であり、その理解なしに経済を論じることはできません。家族史研究は経済史研究のもっとも重要な部分であると言えます。 ところで、家族というと、多少の相違はあるとしてもどこでも似たりよったりと思われるかもしれません。夫婦がいて、その子供たちがいて、さらに場合によっては、夫婦の年老いた親(父や母、またはその両方)がいる、といったところでしょうか? また近代化・工業化・都市化とともに大家族が崩壊し、それとともに核家族が進行してきて

    ヨーロッパの伝統的家族と相続 1 19世紀以前の状態
    gruza03
    gruza03 2014/02/27
    日本では2の類型(直系家族+不平等相続)が支配的であることはよく知られています。とはいえ、家族は現在でも依然として消費の主体であり、また労働力を育て上げる上で決定的に重要な役割を演じています。
  • 米国・労働統計局による「代替的失業率」の計算

    米国では今年1月になってようやく失業率が6.6%にまで下がってきました。その要因として経済回復があることは否定できないでしょう。 しかし、もう一つ大きな要因として、求職意欲喪失者、および「周辺的に労働力に編入される他のすべての者」の存在があります。 つまり、求職活動をしていないか、かつてはしていたが、求職意欲を喪失した者が相当数いるため、見かけ上、失業率が低く見えているいるのです。そのことは下記の米国労働統計局のデータが示しています。通常の方式で算定した失業率(U-3)と求職意欲喪失者を加えた代替的失業率(12.7パーセント)を比べてみると、よくわかります。実にその差は6.1%にも達します。 米国の代替的な失業統計(Bureau of Labor Statistics) 注)「周辺的に労働力に編入される」とは、労働しておらず、求職していないが、過去1年間に求職活動をしたことがある者。 実は

    米国・労働統計局による「代替的失業率」の計算
    gruza03
    gruza03 2014/02/26
    「周辺的に労働力に編入される」とは、労働しておらず、求職していないが、過去1年間に求職活動をしたことがある者。
  • 失業とは何か? 需要不足・構造・摩擦? 1

    われわれは、しばしば「失業率」とか、「完全失業率」という言葉に出会います。それは働く人に対する失業している人の割合を表す言葉であり、何の疑問もない言葉のような気がします。しかし、当にそうでしょうか? まず働く人とは何でしょうか? 働く人について考える場合、15歳以下で修学中の子供を除いてもよいでしょう。もちろん中にはテレビドラマの子役のように15歳以下でも働いている子はいますが、それは例外として考えないことにします。 15歳を超えても20歳台までは、多くの高校生・専門学校生・大学生がおり、彼らは働く人にカウントる場合(バイトなど)もあれば、働く人としてカウントされない場合もあります。 逆に65歳を超えた人の場合も、退職したのち働く気のない人も入れば、働きたいと思う人もいるでしょう。 さらに15歳〜65歳の人の場合、労働に対して様々な関係にある人を区別できあす。 第一に、その中には疾病・怪

    失業とは何か? 需要不足・構造・摩擦? 1
    gruza03
    gruza03 2014/02/26
    失業者とは、職を持っていない(働いていない)が就職活動をしている人しか含みません。つまり、働く能力があっても何らかの形で就職活動をしていない人は失業者にはカウントされないことになります。
  • フランスの最低賃金 SMIC 1970年の SMIG 法

    現行のフランスの最低賃金法は、1970年に旧法を改訂して制定されたもの(SMIG)をベースにしています。その最低賃金率は 、SMIC (Salaire Minimum Interprofessionnel de Croissance) と呼ばれています。 この最低賃金を定めた法律は、民間企業であれ、公企業であれ、(訓練中の徒弟以外の)18歳以上のすべての従業員に適用されます。最低賃金率は、インフレーション率および労働生産性を考慮して決定されることとされています。2010年からは前年のインフレ率および労働者の平均給与の上昇率の半分にもとづいて1月1日に自動的に上昇します。もし年度途中に2%を超えるインフレ率が生じたときには、自動的に引き上げられます。その他に政府は最低賃金を引き上げることを決定することも可能です。(E. Caroli and J. Gautie, Low Wage Work

    gruza03
    gruza03 2014/02/26
     「何があろうとも高賃金は雇用を縮小させる。理論も研究もそのように言っている。」
  • 補足 貧困を許容している日本の最低賃金

    昨日、日の最低賃金率が世界的に低い水準にあることを書きましたが、そのとき平均(中位)の賃金率に対する割合で40%を大きく切っている図を示しました。 ところが、通常、(相対的)貧困の指標として平均の50%以下という基準が利用されていることはよく知られています。つまり、日の最低賃金は貧困線以下に設定されているということになります。 これも前に書きましたが、たしかに旧来は夫が大黒柱として稼ぎ、がパート・バイトで家計を補充するというパターンが広まっており、この家計補充型では問題が少なかったことは間違いないと思います。しかし、男女間のあるべき関係、社会的公正・正義の立場からは大いに問題がありました。また。また近年、非正規雇用者が増加してくるとともに問題はかなり深刻になってきました。 日政治家、それに国民自身の多くがこの問題に消極的にしか取り組んでこなかったことをきわめて残念に思います。 ち

    gruza03
    gruza03 2014/02/26
    旧来は夫が大黒柱として稼ぎ、妻がパート・バイトで家計を補充するというパターンが広まっており、この家計補充型では問題が少なかったことは間違いないと思います。
  • 最低賃金の引き上げ イギリス・ロンドン市長の試み

    イギリスでは、1979年に政権についたM・サッチャー氏が露骨な反労働者的な(anti-labour)政策を取り、その一環として最低賃金制度を事実上崩壊させました。 いわゆる低賃金労働者が増えてきたのは、まさにこの頃からです。1990年代末にアメリカのRussell Foundationが資金を提供して欧米の経済学者に低賃金労働に関する調査を委託し、その結果が出版されていますが、それによれば、ブレアー労働党政権が1990年代に誕生してから、低賃金労働の比率は増加しなくなっているようです。しかし、低賃金労働が縮小したわけではありません。(Low Wage Work in the Wealthy World, Russell Foundation, 2006.) それでも、とにかく労働党政権の下で最低賃金制度が再導入されました。 その際、例によって反対陣営から最低賃金を設定すると、雇用が失われ失

    gruza03
    gruza03 2014/02/23
    マクロ的観点から言うと、賃金の引き上げは貨幣所得を増やし、貨幣表示の有効需要を増やしますから、景気を拡大する効果をもたらします。貨幣所得の増加をともなう好景気がインフレをもたらすというのが本当です。
  • 日本の最低賃金 「先進国で最低レベル」 ILO統計より

    の最低賃金は、いわゆる先進国でも最低の水準にあります。 第一に平均値(メディアン)に対する比率で最低の水準にあります。 第二に、絶対値(購買力平価)でスペインとポルトガルの水準を少し超える程度でしかありません。いま金融危機・財政危機で騒がれているギリシャより低い水準でしかありません。日政治家は、このような数値を公表されて恥ずかしくないのでしょうか? 日政治家(菅元首相、安倍現首相など)と言えば、その多くは口を開くといつもといってよいほど日の法人税が高いから下げるべきだと主張します。この主張も問題です。確かに法人税率自体は高いかもしれませんが、例えばドイツの企業は社会保障費負担が日の2倍くらいであり、企業の公的負担はドイツのほうがずっと高い水準にあります。 グローバル・スタンダードを主張する政治家は、すぐに公正な社会をつくるため、日の最低賃金を引き上げるべく努力するべきです

    日本の最低賃金 「先進国で最低レベル」 ILO統計より
    gruza03
    gruza03 2014/02/23
    グローバル・スタンダードを主張する政治家は、すぐに公正な社会をつくるため、日本の最低賃金を引き上げるべく努力するべきです。
  • EUROSTAT 賃金が高いほど失業率は低い!

    しばしば人件費(賃金率)が高いと低賃金の国に企業が逃げるので、失業率が高くなるという脅しともとれる言説が流されることがありますが、現実の統計はそれとはまったく異なった状態を示しています。 EUROSTATの Statistical Atlas (統計地図)でそのことを確認してみましょう。 次のサイトで簡単に見られます。 http://ec.europa.eu/eurostat/statistical-atlas/gis/viewer/ ここから Labour market を選択し、次にUnemployment rate (失業率)または 時間賃金(Hourly Wage)を選択すれば、NUTS1〜NUTS3のいずれかの地域区分方法に応じた統計地図が見られます。 まず最初に失業率です。大まかにいうと、ドイツの失業率が一番低く、ついでフランスやイギリス、周辺部(スペイン、イタリア南部、ポルト

    EUROSTAT 賃金が高いほど失業率は低い!
    gruza03
    gruza03 2014/02/23
    高賃金が高失業の原因であるという『常識」が如何に誤っているかがよくおわかりいただけるかと思います。費用=収入だからです。高い賃金は高い所得を意味し、それは大きな有効需要を意味します。
  • 賃金主導型レジームへの転換 1

    賃金主導型という意味は、貨幣賃金を抑制するのではなく、むしろ引き上げることによって経済発展・成長・(不況からの)復興を実現しようという意味である。もちろん、この言葉の背景には所得分配の問題がある。 ところが主流派の経済学は何故か所得分配について沈黙する傾きがある。何故だろうか? 所得分配は最も簡単には、次式で示されるように賃金と利潤の分配関係を意味する。 Y=W+R  ただし、W:貨幣賃金、R:利潤 もちろんR(利潤)は、最終的には経営者報酬、利子・地代、配当、内部留保、法人税等に分かれる。その他に粗利潤には減価償却費も含まれる。しかし、概して言えば、これらお主要部分は所得階層の上位1%の人々(富裕者)の重要な所得源となる。他方、賃金も可処分所得や所得税・社会保障費の負担分などに分かれるが、それは99%の人々にとっての主要な所得源をなす。 したがって第一に、賃金と利潤の配分比率(賃金シェア

    gruza03
    gruza03 2014/02/22
    貨幣賃金を引き上げるというインセンティブは企業内部からは生まれない。それが実現するためには、何らかの条件=力が必要である。
  • ILO 『賃金主導型成長:経済復興のための公正な戦略』を推薦する

    以下は、現在世界で最も注目されている経済学者(Marc Lavoie とEngelbert Stockhammaer 氏の編著、ILO)の出版したの紹介の紹介です。 Marc Lavoie to Engelbert Stockhammer 氏は、これまで精力的に研究を公表してきましたが、それをまとめたものです。 「書は、資(大企業)を優遇する分配への移行と所得不平等の拡大が経済成長を抑制し、経済的な不安定性を増したことを主張しています。それは賃金の抑制のリスクが現実のものとなっており、また負債主導型(欧米日のバブル型のこと)および輸出主導型の戦術(日ドイツを始めとして)が多くの国で追求されているが、これらの経済問題と結びついていることを示しています。 一方、書は、賃金主導型の復興のための政策インプリケーションと戦術を分析し、賃金主導型の復興が、消費支出を維持するために必要な家計

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    gruza03 2014/02/21
    賃金主導型の復興が、消費支出を維持するために必要な家計債務の拡大と、また賃金抑制に基礎を置く新重商主義的政策と結びついたグローバルな問題を軽減することを示しています。
  • アベノミックスというお伽話し 物価と賃金との本当の関係

    アベノミックスが喧伝され、物価上昇が経済成長と賃金引き上げを実現するというお伽話を信じた人々が実にたくさんいたようです。マスメディアがこぞって提灯記事を書いたり放送したことも理由の一つでしょう。 また物価を上昇させるためには、日銀が異次元の金融緩和策を取り、通貨を大量に発行すればよいという議論も喧伝されました。貨幣ユートピアも極まれりといった感じです。

    gruza03
    gruza03 2014/02/21
    ところが、・・・。今度はエコノミストなる人々があらわれ、景気回復が2、3年続けば賃金の引き上げも可能になる(つまり賃金は当面あがりません)と言い出す始末。何をかいわんや、です。
  • ユーロ圏の危機 11 欧州の、欧州による、ドイツ人のための統合?

    このようなタイトルを付けたからといって、私は決してドイツ人を非難しようとしているのではありません。 ドイツ人は勤勉・堅実であり(貯蓄性向が高く)、規律を重んじます(別の表現では、団体・コルポラツィオーン、Korporation の精神に富んでいます)。比喩的に言えば、ドイツはイソップ寓話における勤労意欲に満ちた蟻であり、彼らから見れば、フランス人を含む南欧人は遊び好きなキリギリスのように見えるのかもしれません。 しかし、もしそうだとしたら、蟻とキリギリスたちが家計(財政)は別々にしたまま家連合をつくろうとするのがそもそも無理だったというべきです。もっとも蟻の世界でも家の内情は少し複雑で、金融と輸出産業部門を管理している家長(Herr im Hause)蟻が優遇され、働き手(Arbeiter)蟻が少し冷遇されている様子も垣間見え、それが世論調査結果にも現れています。 前置きはそれくらいにして

    ユーロ圏の危機 11 欧州の、欧州による、ドイツ人のための統合?
    gruza03
    gruza03 2014/02/19
    むしろ意外なのはドイツでもユーロ圏を離脱し、自国通貨に戻るべきという意見が3分の2(32%)に達していることです。
  • ユーロ圏の危機 10 ユーロは存続可能か? 国民の分断の危機

    現在、ユーロ圏諸国が直面している課題は一つではありません。 その一つは、EU債務危機(金融危機、財政危機)およびそれと密接に関連している経済危機(不況、失業)を如何に克服するかという問題です。もう一つの大きな問題はユーロ圏の存続可能性の如何にあります。仮に当面の経済危機を解決できたとしても、その背景にある単一通貨のもたらす問題がなくなるわけではありません。 そもそも単一通貨圏の創設が、中心国と周辺国との不均衡という特異な経済関係を生み出し、それが資産バブルのメカニズムを通じて問題を増長させていたのです。もう一度要約しましょう。一方で、マーストリヒトとSGPは、ユーロ圏の経済を停滞させます。勤労所得は増えなくなり、同時に失業率が上昇しました。しかし、他方で、中心国(ドイツ)は、輸出主導型の成長レジームを通じて周辺国に対する輸出超過を実現し、周辺国は自国の人々が生産する以上に消費(輸入超過)し

    ユーロ圏の危機 10 ユーロは存続可能か? 国民の分断の危機
    gruza03
    gruza03 2014/02/19
    国民のうちエリート(社会上昇の20%)が盲目的に(つまり「単一思考」「ゼロ思考」「貨幣ユートピア」から)「マーストリヒト」に賛成
  • ユーロ圏の危機 9 資産バブルの発生と崩壊

    資産バブル(asset bubble)は、何故、どのような時に、どのようにして生じるのでしょうか? 私の意見では、人々の貨幣信仰(貨幣的ユートピア信仰)が始まるときに資産バブルにとって絶好の環境が生まれます。資産バブルとは、資産価格の上昇を意味しますが、それはキャピタル・ゲイン(資産の売買差益)を求める行為、つまりは貨幣を増殖させるという行為、聖書が厳しく非難した貨幣信仰、「黄金の子牛」の崇拝、「貨幣愛」(love of money)から生まれる結果に他なりません。 それでは、どのような時、貨幣信仰は生まれるのでしょうか? それは人々を捉えていた他の事象に対する熱狂や情熱、信仰が冷めるときです。 例えば16世紀のルターとカルヴァンによる宗教改革は、福音主義と予定説という新しい教えを広め、人々の間に宗教的情熱をかき立てましたが、17世紀から18世紀にはそのような熱狂は冷めてしまいました。プロ

    ユーロ圏の危機 9 資産バブルの発生と崩壊
    gruza03
    gruza03 2014/02/18
    金融自由化がマネーゲーム(カジノ資本主義)をもたらし、実体経済を混乱に陥れている事実をあげることができるでしょう。金融資本主義または金融主導型成長体制の怖さと言い換えることもできます。