東京・新宿から小田急線で約1時間、鶴巻温泉にある旅館『元湯 陣屋』(神奈川県秦野市)。1918年創業、囲碁や将棋の対局の場としても知られ、昭和初期から約300局以上の対局が行われてきた。1万坪の庭園内に20の客室を配する豪華な造りだ。 しかし、2008年のリーマン・ショック後、売り上げが低迷し、オーナーだった現在の4代目社長、宮崎富夫氏の父親が他界。女将だった母親も入院して経営者不在の事態に陥っていた。 富夫氏の妻で、現女将の知子氏が振り返る。「売り上げ2億9000万円に対して借入金が10億円あった」。売却先も見つからず、倒産寸前だった。09年10月、2人目の子供が生まれて1カ月だったが、富夫氏とともに、旅館を継ぐ決心をする。 もともと知子氏はOL、富夫氏はエンジニア。そろって修業期間も引き継ぎもないまま、老舗旅館の女将、社長となった。それからの数年は「死にもの狂い」だった。 まず取り組ん
![【こんな時代のヒット力】囲碁や将棋の対局の場で知られる鶴巻温泉旅館「元湯陣屋」、低迷で借金10億円 背水のIT改革で売り上げ5億超に(1/2ページ)](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/e7e3886e9b6c7e79d861e3d065bbbbbc9c99d475/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.sankei.com%2Fresizer%2FokWKPnQ7LP4e24Nf5dgReyH-uK0%3D%2F1200x630%2Fsmart%2Ffilters%3Aquality%2850%29%2Fcloudfront-ap-northeast-1.images.arcpublishing.com%2Fsankei%2F32FNBEILUVKGFCZCSLACLIOSXI.jpg)