文・岡野 高広(日立総合計画研究所 社会・生活グループ 研究員) 公会計制度改革とは、現金主義・単式簿記を特徴とする現在の地方自治体の会計制度に対して、発生主義・複式簿記などの企業会計手法を導入しようとする取り組みのことです。 従来の会計制度では、自治体の総合的な財務状況が把握しづらく、予算審議など内部管理への利用が困難、住民にとって分かりにくいという課題がありました。そこで、(1)資産や債務の管理、(2)費用の管理、(3)財務情報の分かりやすい開示、(4)行政評価・予算編成・決算分析との関係付け、(5)議会における予算や決算審議での利用、という目的で自治体の公会計制度の改革が進められてきました。 総務省は地方自治体に対して、企業会計手法を全面的に採用した「基準モデル」と、既存の決算統計情報が活用可能な「総務省方式改訂モデル」の二種類の会計制度を提案しました。そのどちらか一方のモデルを選ん