1 愛は美しいらしい、愛は世界を救うらしい、愛は無限の力をもたらし、愛は全ての障害を乗り越える可能性を持つらしい。それは愛を貫こうとする人の本人の力強さであって、愛そのものの美しさなんかではないと私は思う。というより、愛というものを貫こうとする人を見ると、そして自分の命を捨てることを選ぶ人や、自分の夢を捨てる人を見ると、私は愛というものをここまで信じさせている世界が気持ち悪いなと感じる。その人がそうしたくてそうするのは、私には何もいえないけれど、それを愛のためだからと美しいと捉える第三者は不気味だ。八方塞がりの状況の中で、愛を信じることだけが最後の手段だと思えてならない時、愛だけは手放したくないと命と天秤にかけてまで思ってしまう時、そんなふうにうやむやな愛しか、希望として縋るものがない世界が異常なだけじゃないかと思う。 気持ち悪くない愛なんてあるのだろうか。先日、ファンとしての愛とか、片想
