大学の街・京都で、30分間の皿洗いをした学生に無料で食事をふるまってきた「餃子の王将」出町店(京都市上京区)が今月末で閉店する。「金もうけは関係ない。お客さんが満腹になって喜んでくれたらそれでいい」。自身も若い頃、食費で苦労したという店主の井上定博さん(70)がこうした思いで続けてきたが、後継者もいないことなどから、惜しまれつつ看板を下ろす。(井上裕貴) 周辺に京都大や同志社大の学生が多く住む出町桝形商店街近くの王将出町店。 《めし代ない人お腹いっぱいただで食べさせてあげます》 入り口に張り紙が掲示された店内では、白いエプロン姿の井上さんが慣れた手つきで中華鍋を握る。昼時には狭い厨房(ちゅうぼう)で、ギョーザを焼きながら、チャーハン、エビチリ、豚キムチと次々に入る注文をさばく。合間に唐揚げをサービスしたり、世間話を楽しんだりする接客で、店はアットホームな雰囲気だ。 原点には井上さんの「目の