高知大空襲(1945年)による戦災から立ち直りつつあった高知市を、昭和南海地震(46年)が襲った。当時中学生だったアマチュア天文家、関勉さん(80)は、再びがれきとなった街で空を仰いだ。「何もない世界で星だけがきれいに輝いていた」。星に導かれるように本格的に研究を始めた。 関さんが89年3月11日に発見した小惑星は今月、「GANBAROU(がんばろう)」と名付けられた。「戦争や地震は大変でつらい経験だったが、希望があった。東日本大震災で被災した皆さんも希望を持ち続けてほしい」という思いが込められている。 記事に「励まされた」という感謝とともに、「関さんはまだ現役だったんですね」と驚きの反応も寄せられた。「GANBAROU」は8月17日に地球に最接近する。「写真に撮って被災者に見てもらいたい。がんばりましょう」。傘寿の目が今夜も星を見つめる。【黄在龍】