今の自由は豊かさにつながっていますか――。「1万年前の農耕社会の開始以来、初めて世界人口の過半数が貧しさから脱した」と米ブルッキングス研究所が宣言した2018年。民主主義を育んだ先進国では中流がすでに地盤沈下していた。1970年代に6割を占めた米国の中間層は5割程度に細った。コロナ禍はその沈下を早める。国際労働機関(ILO)によると、1~9月の世界の労働所得は前年同期比10%減、金額換算で3兆5千億ドル(約360兆円)減った。【関連記事】自由のパラドックス 「パクスなき世界」を考える 民主主義、少数派に 豊かさ描けず危機増幅 民主主義、再生の道は 岩間陽子氏と室橋祐貴氏が対論 新興国の優等生タイ。4~6月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比12.2%減とアジア通貨危機の1998年以来の落ち込みだった。首都バンコクでは7月から反体制デモが続く。「経済はひどい。政府に国を統治する能力はない