東京電力は11日、福島第1原発事故直後の原子炉建屋や構内の写真600枚を新たに公開した。東電が公開した写真の枚数としては過去最多。東電の松本純一・原子力立地本部長代理は「協力企業に呼び掛けたほか核物質の防護上、公開できない写真を精査するのに時間がかかった」と説明した。
関連トピックス原子力発電所東京電力地震直後とみられる福島第一原発構内。土手が大きく崩壊している=2011年3月、東京電力提供地震後の福島第一原発の様子。地面が陥没して道路が大きく破壊されている=東京電力提供事故後の福島第一原発1号機と2号機共用の超高圧開閉所。送電設備が壊れ、停電になった=東京電力提供建屋で爆発が起きた後、4号機への注水作業の様子。作業員の姿も見える=東京電力提供津波で水没した、福島第一原発6号機の電源室内の様子=東京電力提供 東京電力は11日、東日本大震災発生直後の昨年3月11〜28日にかけて撮影された福島第一原発構内の未公開写真600枚を公表した。津波の影響で水没した建屋内や、壊れた設備などが生々しく写っている。 写真は、東電社員や協力企業の社員に呼びかけて集められた。これまで公表しなかったことについて、東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「現場にどれくらい写真が
「俺にもしものことが起きたら、かみさん、娘をよろしく」。昨年3月12日、福島第1原発1号機が水素爆発。その後は3号機(14日に水素爆発)の圧力が上昇し、いつ重大危機が起きるか分からない緊迫した状況が続いていた。交代で3号機に隣接する中央制御室に向かうことになった原発所員は、死を覚悟して郷里の父親に、妻と娘のことを頼んでいた。 別の所員は汚染を気にして外していた指輪をあえてつけるようにした。「最悪の事態が起きた時に自分だと分かるようにするため」と「お守りのため」が理由だ。 被曝(ひばく)の恐怖を乗り越え、使命感を持ち原発事故の収束に挑んだ男たち。政府、国会、民間、東電がそれぞれ設置した事故調査委員会が関係者から聞き取りした調査結果から事故当時の現場の生の声が徐々に浮かび上がってきた。 「中操(中央制御室)が崩れる。もう終わりだ」「交代は来ないだろうと思い、長期被曝による死を覚悟した」。原発を
関連トピックス菅直人原子力発電所東京電力【動画】3号機原子炉建屋で爆発発生=東京電力提供東京電力が編集・加工して提供した福島原発事故時のテレビ会議録の映像 東京電力は6日、福島原発事故時の対応を記録したテレビ会議録の編集・加工映像を、報道用素材として報道機関に提供した。 提供があったのは、(1)1号機の原子炉建屋爆発(音声なし、2分5秒)(2)1号機の海水注入の経緯(音声なし、3分10秒)(3)3号機の原子炉建屋爆発(音声あり、4分41秒)(4)2号機の逃し安全弁操作の経緯(音声あり、12分2秒)(5)退避にかかわる発言(音声あり、3分割計7分15秒)(6)菅総理の来訪(音声なし、37分5秒)(7)4号機と考えられる衝撃音の発生(音声なし、22分5秒)の7カ所。 東電は同日、報道機関向けに、計150.5時間分の映像を、東電の施設内で録音・録画を禁じる形で開示した。 (提供映像は、朝日
東京電力福島第1原発3号機が水素爆発する直前の昨年3月14日早朝、格納容器の圧力の急上昇を東電が公表しようとしたところ、経済産業省原子力安全・保安院が公表を待つよう指示していたことが東電の社内テレビ会議映像から分かった。爆発後には東電が確認しないまま、保安院の主張通り「水素爆発」を追認。2号機への海水注入についても本店側が「もったいない」と発言するなど、必死の作業にあたる現場とはかけ離れた、政府と東電本店の当事者意識の欠如ぶりが浮かぶ。(原子力取材班)「絶対に駄目」 映像によると、14日午前6時ごろ、3号機で、格納容器の圧力を示す数値が急上昇。東電本店にいた小森明(あき)生(お)常務が午前6時10分すぎに爆発の恐れが強まっていることを官邸と保安院に連絡した。これを受け、第1原発の吉田昌(まさ)郎(お)所長(当時)は3号機周辺からの退避を作業員に命じた。 その後、3号機の状況を公表するかをめ
吉田昌郎・福島第1原発前所長のビデオでの発言全文は次の通り。 −−第1原発の現場の声を伝えてほしい。 ◆昨年の大震災、それから私たちの発電所の事故で福島県の地元の方々に本当にご迷惑をおかけしている。この場で深くおわび申し上げる。まだしばらくこういう状況が続くが、我々も全力を挙げて復旧しており、ご理解をお願いする。本来ならこの講演会に自分で出てきたいと思っていたが、昨年末から病気でずっと入院していてまだ体力が回復していない。そういう中でこういうビデオレターということで失礼する。政府などの事故調査委員会が開催されている中で、なかなか一般のマスコミの方に我々の生の声を届けるわけにはいかないと思っていた。事故調査委員会が一段落するまでは変な形でお話しをすることはルール違反になると私は思っていた。そういう中で(今回)話を聞いていただけるということは大変ありがたいと思っている。 −−発電所からの全面撤
東京電力福島第一原発で事故発生直後から対応に当たった吉田昌郎(まさお)・前所長(57)が11日、福島市内で開かれた原発事故と復興に関する有料セミナーにビデオ出演し、事故当時の状況などを語った。 セミナーは長野県内の出版社が主催。会場には100人を超す聴衆が集まった。映像は30分弱で、7月に東京都内で収録されたという。 映像の中で吉田前所長は冒頭、「地元の人たちに多大な迷惑をかけていることを深くおわびしたい」と陳謝。事故発生時、東電が全面撤退を検討したかどうかについては、「我々が現場を離れることはあってはならず、撤退ということを本店は一言も言っていないし、我々も思っていなかった」と話した。 また、仏教に造詣が深いという吉田前所長は、危険を顧みずに何度も現場に向かう部下の姿を、「地面から菩薩(ぼさつ)が湧いてくるイメージだった」とたとえ、感謝の気持ちを表した。一方、政府などの事故調査委員会から
東電が公開したテレビ会議の録画には、事故への対応で一喜一憂を繰り返しながら格闘する現場の様子が記録されている。 「炉圧(原子炉圧力)はちゃんと注水できるまで落ちるんだっけ。賭けだな、もう、賭け」。昨年3月13日午前の記録で、吉田所長がうめいた。3号機の冷却装置が停止し、炉心溶融の危機に直面していた。前日に爆発した1号機と同様、建屋に水素がたまっていく。本店の小森明生常務が漏らした。「すごいやばい状況」 同日夜、圧力はいったん下がったが、14日朝に再上昇。吉田所長が言った。「急激だな。これほんと、要注意なんだよ。6時から6時20分の間に50キロ上がってるでしょ。7時前に設計圧力を超えちゃうよ。水位がダウンスケール(燃料棒が露出)しちゃったじゃん。うえ!小森さん!」 午前11時1分、建屋が爆発。続いて2号機が危機に陥る。建屋の水素を外に出す手だてが見つからない中、建屋上部のパネルが1号機の爆発
東京電力が6日に公開した福島第一原子力発電所事故直後のテレビ会議映像には、2、3号機の初期注水の失敗に至った過程が生々しく描き出されていた。 政府の事故調査・検証委員会が指摘した、後手後手に回った対応が詳細に浮かび上がった。(肩書は当時) ◆3号機 大津波の襲来後ほとんど注水できず、昨年3月12日に水素爆発を起こした1号機と異なり、3号機は13日まで外部電源がなくても稼働する高圧の注水系(HPCI)で原子炉を冷やしていた。そのためビデオ映像からは緊迫感は伝わらない。 設備損傷の恐れがあったため、現場の当直が同日午前2時42分にHPCIを手動停止し、その約1時間後に吉田昌郎第一原発所長が本店に報告。原子炉の生命線である注水が途切れる緊急事態だったが、本店は「いったん停止、了解」など淡々とした対応に終始した。第一原発、本店ともに積極的に対応策を議論した形跡はなかった。 現場に緊張が走ったのは同
報道陣に公開されるテレビ会議録画映像(右は説明する東京電力の松本純一・原子力立地本部長代理)(6日午後、東京電力本店で)=佐々木紀明撮影 東京電力は6日、福島第一原子力発電所の事故時に現場と本店との間で初期対応を検討したテレビ会議映像を初公開した。 映像は津波襲来で事態が大きく動いた昨年3月11日夕から16日まで延べ約150時間分。1、3号機での水素爆発時の混乱や後手に回る対応の生々しい様子などが映し出されているが、公開映像は一部で、音声が加工されているなど、不十分な情報公開と指摘されている。 テレビ会議は本店と福島第一、第二原発など5か所を結んで行われた。公開したのは映像だけの第二原発録画分100時間と、音声のある本店録画分50時間。 映像の主なやりとりは〈1〉1、3号機の水素爆発〈2〉原子炉への海水注入〈3〉作業員の撤退〈4〉昨年3月15日の菅前首相の本店来訪〈5〉圧力を下げ、注水する
印刷 関連トピックス原子力発電所東京電力 東京電力は28日、事故復旧作業の陣頭指揮に当たっていた福島第一原発の吉田昌郎所長が体調不良のため入院し、所長職を退任すると発表した。
東京電力は30日、福島第一原子力発電所の事故発生後の対応に当たった吉田昌郎・前所長(57)が外出先で不調を訴えて緊急入院し、脳出血と診断され手術を受けたと発表した。
東京電力は30日、福島第1原発の吉田昌郎前所長が26日に脳出血で緊急手術を受けたと発表した。手術は成功し、意識はあり命に別条はないという。 東電によると、吉田氏は昨年11月、食道がんのため入院。その後、入退院を繰り返していた。26日は自宅療養中で、外出先で不調を訴えて救急搬送された。東電は現在の病状について「詳しくは言えない」と話している。【奥山智己】
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