2010年08月12日18:50 カテゴリ本科学/文化 「後期近代」を考えるブックガイド 今週の週刊東洋経済の特集は「哲学入門」。日本経済の衰退の原因は哲学的レベルにあるので、哲学書を読むのはいいと思うが、問題の立て方が微妙にずれているのが気になったので、私の夏休み読書ガイドを: この特集のきっかけは、サンデルの本が20万部以上も売れていることだと思うが、これはおそらくテレビの影響で、彼の問題意識は日本では共有されていない。コミュニタリアンがアメリカで出てきたのは、ロールズやノージックに対するアンチテーゼとしてなのだが、日本にはアメリカのような意味でのリベラルもリバタリアンもいないからだ。 ロールズが「公正な分配」を哲学のテーマにしたのは、60年代の公民権運動や対抗文化の影響だが、70年代にはこうした運動が挫折し、石油危機後の財政赤字やスタグフレーションによって福祉国家の欠陥が露呈した。そ
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