日本国の現政権の問題を指摘するのにジョージ・オーウェルの名前がしばしば出てくるのは当然のことであろう。じっさい、現政権が憲法違反の安保法制を押し通そうとしている光景は、オーウェルの『動物農場』の世界を彷彿とさせる。考えてみるとこの物語の筋立てというのは、「動物共和国」成立に際して制定した憲法が、特権化した一部の動物の仕組んだテロと欺瞞的な言語使用によってなし崩しにされて(つまり民主的な手続きを経ずに憲法が破壊されることで)独裁国家に変わり果てるというものだ。原作の発表は1945年の8月なので、まさに70年前ということになるが、この70年で日本がこれほど「オーウェル的」状況に突き進んだことはなかったのではないか。そう思うと改めて愕然とする。 しかしいま、「アベ政治を許さない」という大きな運動のうねりがある。この「アベ政治」の一要素として、白を黒と言いくるめて他者をたぶらかすことを狙った不誠実