ストア哲学の英知に触れ、その豊かな知恵を日々の生活に役立てる術を探るシリーズにようこそ。 今回は、古代ギリシャの哲学者エピクテトスを取り上げます。『語録』においてエピクテトスは、自分のやり方や信念に深くこだわる人の心を変えようとする行為を戒めています。 相手が、あまりにも明らかな真実に対して異議を唱えるならば、論拠を見つけて意見を変えさせるのは容易ではありません。その人自身が強いとか、その人を導いた師が弱いとか、そういうことではありません。議論の相手が頑なになった時には、その人の頭の中にはもはや論理的思考などないのです。- 『語録』第1巻・第5章・第1節 頑なになっている人の頭の中は? 論理を裏づける確固たる事実を示しても、相手がまだそれを否定する場合、討論を続ける意味はありません。簡単に揺るがないのは、相手の心に多大な抵抗力が宿っているからではないし、師の指導が間違っていたからでもありま