国連が定めた17の持続可能な開発目標(SDGs)は、人類の幸福を実現するために「解決すべき課題」である。だが逆に言えば、簡単には「解決できない課題」だからこそ目標として掲げられているのだ。どの目標を見ても、単一の学問分野で解決策を構築することは難しい。工学、教育、医薬、法律、経済、心理...。さまざまな知の組み合わせ、新しい学問体系を生み出すことも必要になるだろう。 例えば、SDGsの1番目の「貧困をなくそう」。最初に掲げるにふさわしい目標だが、解決策はどうだろうか。「工学」で生活必需品の生産性を上げればよいのか。「商学」で「お金を生む仕事を創造」すればよいのか。「教育」で知の水準を上げなければいけないのか...。そもそも会社のルールに従い、時間を提供している自分は「時間的な貧困者」なのかもしれない...。などと考えていると、隘路(あいろ)に入り込んでしまう。 量・質ともに劣化する日本の研