「東大」と「文学」の関係は? と聞かれて、多くの人がすぐに思い起こすのは、いわゆる「文豪」たちの存在ではないだろうか。それほど、近代文学史に名を残した文学者たちには東大の出身者が多い。では、その文学者たちの東大での経験はそれぞれの作品にどのような影響を与えたのだろうか? 作品の東大生ならではの楽しみ方は? そんな疑問を解決するのが本企画。今回は夏目漱石・芥川龍之介の東大生時代や作品の魅力についてお届けする。記事を片手に、この秋は読書で「東大」を感じてみてはいかが。(構成・鈴木茉衣、取材・鈴木茉衣、佐竹真由子) 夏目漱石:『吾輩は猫である』をフェミニズムで読む 一言で言うならば「西欧の近代小説の技法とテーマの300年間の歴史を明治日本で再現し、わずか10年の作家人生の中で確立した」点が夏目漱石の文学の魅力であり特徴です。漱石は文学のさまざまな潮流やジャンルについて、特定の作品が特定の潮流と一