1.大学教員の公募は出来レースか? 大学教員の公募に関しては、採用選考が適切に行われていないのではないかという懸念を抱く方が少なくありません。例えば、公募と銘打ってはいるものの、誰を採用するのかは既に決まっていたのではないかといったようにです。 それでは、採用選考過程に疑義がある場合、不合格者は大学に対して採用選考過程や自身への評価についての情報開示や説明を求めることができないのでしょうか? この問題を考えるにあたり、近時公刊された判例集に参考になる裁判例が掲載されていました。東京地判例4.5.12労働判例ジャーナル129-48 学校法人早稲田大学事件です。 2.学校法人早稲田大学事件 本件で被告になったのは、早稲田大学等を設置している学校法人です。 原告になったのは、中国政治及び中国社会論を研究分野とする政治学者の方(原告A)と、その方が加入している労働組合(原告組合)です。 被告は、