多様な人が研究成果を活用できる「オープンアクセス」(OA)に向けて、大学と世界的な論文雑誌の出版社の間で「転換契約」が進みだした。雑誌の「購読料」と、他の場での発信も可能な「掲載料」という、二つのサービス・費用による仕組みだ。伝統的な出版ビジネスや研究者評価に影響があり、先進大学の取り組みから国を挙げての戦略に変わりつつある。サービスの利用者、提供者、そして一般社会の賛同が得られるよう注視が必要だ。(編集委員・山本佳世子) 若手研究者の支援急務 学術論文は研究者(著者)が研究成果を原稿にまとめ、出版社の論文雑誌に投稿し、専門家の査読によって品質を吟味されて受理となる。元々は印刷された論文雑誌が大学などの図書館に並び、所属の研究者が閲覧・引用していた。現在はオンラインで読む電子ジャーナルが大半だ。 有力雑誌への掲載は研究者の評価を高めるため、ブランドがある出版社は力が強く値上げがしやすい。近