EBPM(エビデンスに基づく政策形成)におけるエビデンスとは、「政策の因果効果を表す実証的根拠」と定義される場合が多い(大竹・内山・小林編, 2022)。本稿では、EBPM(特に政策の因果効果(以下では単に「効果」と呼ぶ)を検証すること)に関心のある方々の参考となるように基本的な事項を解説した。 1.総論 政策の効果を検証する場合には、当該政策の対象となった人や企業(以下では「介入群」)とならなかった人や企業(以下では「対照群」)を比較するのが基本である。また、効果検証を行うためには数値で示すことができる実際に計測可能な目標の設定が必要になり、このような数値はアウトカムと呼ばれる。適切な比較対象とアウトカムを設定できるかどうかが、信頼できる効果検証を行うための鍵となる。 2.比較対象の設定 (1)適切な比較対象がないとどうなるか? ①比較対象がないと個々の政策の効果があったかどうかはわから
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