堀 雅博 内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官、一橋大学経済学研究科教授 前田 佐恵子 内閣府経済社会総合研究所特別研究員 菅 史彦 内閣府経済社会総合研究所客員研究員、九州大学経済学研究院准教授 要旨 本研究では、「国民生活基礎調査」のデータを用い、1990年代から2000年代にかけての日本における所得格差について、包括的な分析を試みた。先行研究よりも高い精度で所得不平等を測定するために、国勢調査の個票データを利用してウェイトを作成し、8つの異なる所得の定義で4つの所得不平等指標を算出した。その結果、我々が作成したウェイトを用いて算出された所得不平等指標は、ウェイト補正しない場合、および提供されたウェイトを用いて補正した場合に比べ、高い値をとることがわかった。不平等指標の水準は高くなる一方、ウェイト補正によって不平等指標のトレンドが大きく影響を受けることはないことも明らかになった。また