2009年4月1日から「仮通常実施権/仮専用実施権登録制度」がスタートした。知的財産に関する実務では,特許権が成立する前に出願人が他人に出願中の特許を受ける権利をライセンスすることがある。ここで問題になるのが,特許権を取得する前に出願人(ライセンサ)が破産したり,第三者に買収(譲渡)された場合である。この場合,第三者がライセンスを解除したり,補償金を請求する可能性がある。こうなるとライセンシはビジネスを続けることが難しくなる。従来,特許成立前のライセンスの場合,権利化前のライセンスを登録する制度が存在しなかったため,ライセンシは第三者の権利行使や契約解除に対抗することができなかった。それを改善する本制度群の目的と効果,今後の課題について見ていく。 ライセンシが事業を進められないリスクが増加 近年,日本企業が関連するM&Aが増えている(関連記事)。一方で景気の悪化によって破産する企業も出て