菅直人首相は、7月13日の記者会見で、「脱原発」への方向づけを表明した。これをめぐってさまざまな論評がなされたが、そこで欠けていたのは、「産業構造の転換によって電力需要を抑制する」という視点だ。行われている議論の大部分は、電力需要を所与とし、脱原発で不足する分を再生可能エネルギーや「埋蔵電力」(企業の自家発電)で賄おうとするものだ。 代替エネルギー源の探求は確かに必要である。しかし、それによって電力の量的制約をクリアできたとしても、発電コストの上昇は避けられない。 また、原発に依存し続けて問題を解決できるかといえば、そうでもない。これまで原子力発電のコストが低いといわれていたのは、必要とされる安全対策のコストを含んでいなかったからである。それを含めれば、原子力発電のコストは決して安くはなかったのだ。 ところで、製造業は電力を大量に使う産業であり、日本全体の電力使用の中で大きな比重を占