この戦争では、残念ながら日米安全保障条約なるものは存在しない。自分の国は自分で守る以外に方法はないのである。 しかし、65年間という2世代分に相当する長きにわたって米国の庇護を受けてきた日本には国を守るという意識と意欲がほとんど失われかけている。 そこにきて、庇護してくれると思っていた米国が戦争を仕かけているのだ。たまったものではない。 英フィナンシャル・タイムズ紙の「世界的な通貨バトルに米国が勝つ理由」の要旨は、米国が明らかに勝てる戦争についに打って出たというものである。 ついにというのは、米国を頂点とする世界秩序を守るために世界で唯一の覇権国である米国は、これまでそんな戦いができなかったが、そのタガもいよいよ外れてしまったという意味である。 もちろん、為替介入による露骨なドル安誘導ではない。 ただ、景気回復のペースが鈍く、何としてでもデフレを回避したい米国は、とことん金融緩和を続ける。